「ジョーカー・ゲーム(TVアニメ動画)」

総合得点
77.1
感想・評価
991
棚に入れた
5039
ランキング
648
★★★★☆ 3.6 (991)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.5

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

これまでにない魅力のスパイもの

 原作は未読。
 これまでのアクション重視のスパイものとは異なり、見方によっては地味とも取れる
情報収集の仕方などはリアリティを感じさせるもので、このスパイ描写がとにかく魅力的。
 多少のアクションはあるものの、頭脳戦重視ということで、ミステリー的色合いを強く
感じる。
 ただスパイは目立たぬものということで、キャラ自体も目立たなくなってしまうのに一種の
ジレンマも感じたり。
 先にリアリティと書いたがD機関の能力自体はかなりのチートっぷりを発揮。特に結城中佐が
凄すぎ。
 D機関自体はフィクションの存在だが、その背景にある歴史は事実に即しており、この当時も
この後も日本が情報戦に関しては遅れを取っていたことを考えると、幾ら現場が優秀でも、
そこで得た情報などを上層部がうまく使いこなせていないような印象があり、ある種の空しさも
感じたり。

 ストーリー的にはD機関の各メンバーの活躍を描いた連作集とも言うべき構成。
 1、2話はチュートリアルといった印象で、参謀本部から来た佐久間という外部の存在を
通してD機関というものを説明しており、そういう意味において佐久間は視聴者と立ち位置を
同じくするような存在かなという印象。
 ここで印象深いのが「死ぬな殺すな」というD機関の理念で、結城中佐によるその趣旨は
説得力のあるものだが、メタ的には主人公サイドに殺しをさせないための仕掛けでもあるのかな
とも思ったり。
 この理念に関しては、中盤の山場とも言える「風機関」との対立は陸軍内の諜報組織の
勢力争いというだけでなく、「風機関」が真反対の理念を持っていることもあって、一種の
イデオロギー闘争のような側面もあって興味深い。

 作品自体の内容や雰囲気は良かったが、連作集ということで全体を貫くような話の流れは
ないため、食い足りなさも感じる。
 個人的には複数のメンバーによる共同作業や、戦中戦後のD機関を観たかったかな。

 最後に。
 本作自体の問題ではないのだが、本作に影響を受けすぎたのか、他作品で殺人を行うスパイが
登場すると、ネット上などですぐに二流と決めつけるような意見が上がるようになったが、作品
ごとにテイストや考え方があるわけで、それはどうかな?と思ってしまった。
 本作内でも若き結城中佐が手榴弾を使って脱出したように、理念は理念で絶対的なもので
なく、時と場合によると思うのだけど。

2018/08/06

投稿 : 2018/08/06
閲覧 : 243
サンキュー:

6

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