STONE さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
戦後の日本における超人という存在
前半の終盤で、神化43年に人吉 爾朗が超人課を抜けた真相が描かれたことで、ミステリー
要素は不要となったためか、本作は基本的には時系列順の描写。そのために前半よりは話は
追いやすくなった感がある。
立ち位置が変わったのは爾朗だけではなく、前半の過去描写とはかなり様変わりした感が
ある。それぞれが自身の信念や矜恃で行動しているためか、一種の群像劇のような感も。
ただ時系列順になったことで流れるように話が進むかと思いきや、後編になっても
小エピソードが多く、これがむしろ作品全体のテンポ感を悪くしているような感があった。
一応、里見 義昭の陰謀などは進んでいたが、終盤になっていきなり急加速して、唐突に
まとめあげて無理矢理終わらせたような印象。
2クール通しての印象は、昭和を思わせる世相、事象、超人達を描きながら、超人のいる
戦後を描くというコンセプトはかなり興味深かったが、シリーズ構成などスケールの大きな
テーマを処理しきれなかった感が強い。
描かれた多くの事象が、現実にあった事象と似たものでありながら、そのほとんどが超人
絡みであり、そういう意味では本作品の超人という存在は昭和戦後史の何らかのメタファーと
言えそう。ただ、あまりにも様々な部分に絡んでいるため、画一的なメタファーではなく、
ある時は体制的、ある時は反体制的、ある時は物質的、ある時は精神的といった感じで、
その時その時で対象となるものが異なる複合的メタファーと言えそう。
最終的には超人は必要か、不要かといった話に。
里見の言う「超人のいる世界が不自然に思える」という考え自体は、既に存在している者に
対して、かなり無茶な感があるが、ヒーローとしての超人の場合、ヒーローが必要な社会と
いうものはそこに悪や不幸があるというわけで、ヒーローの必要ない社会こそ良い社会という
考えもできそう。
特にヒーローの敵対者の多くが悪の超人であることから、超人そのものがいなくなれば、悪の
超人も存在しなくなるわけで、ヒーローが活躍する社会より平和なのかもしれない。