STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
単なるパロディに終わらず
原作は未読。
タイトルからして判るように「けいおん!」のバイク版パロディといった感じで、色々な部分が
「けいおん!」を意識したような作りだが、単なるパロディ以上の面白さがあり、バイク
そのものの魅力を感じ取ることはできた。
キャラに関しても主役の佐倉 羽音は「けいおん!」の主役である平沢 唯を意識したような
キャラ。
他も天野 恩紗は田井中 律を、中野 千雨は中野 梓を意識したような作りで、三ノ輪 聖は
雰囲気や性格こそ異なるが、資産家のお嬢様というスタンスから琴吹 紬に相当するキャラ
なんだろうなあという感じ。
多くのキャラがパロディ的要素があるゆえに、個人的には鈴乃木 凜のように
オリジナリティのあるキャラの方が魅力的に思えたけど。
メインモチーフに対するスタンスも双方は似ており、「けいおん!」がプロを目指す、
コンテストで優勝するといったセクセスストーリーに走らずにただバンド活動の楽しさに主軸を
置いていたように、本作も文化祭のイベントとしてのレースこそあったものの、スポーツものの
ような展開は取らず、ただバイクの楽しさを伝えることに終始していた。
バイク自体はバンド活動と違い、単独でも楽しさを得ることのできるものだが、本作では同じ
趣味を持つ仲間との楽しさを共有することに重点を置かれていたように思える。
バイクに関するウンチクも楽しかったが、ここでよくネタにされていたのが、一種のディスり
とも取れるスズキいじり。よくスズキが協力したなあと思わないでもないが、この辺はスズキの
器の大きさかな。
ある種の趣味の範疇で、更に派閥のようなものができることはバイクに限らず、よく
あることでいかにもという感じ。
このスズキいじりが内ゲバ的なものに対して、外部へのいじりは自転車に対するそれ。
テレビ放映時は「弱虫ペダル」の放映時に近かったためか、「弱虫ペダル」に対するいじりの
ようにも思えた。
ただ、いずれのいじりも根底には憎悪のようなものは感じられず、あまり不快感を
感じなかった。
最終話において、合理性の見地からのバイクの必要性の無さが語られたりする。
個人的には街中での配達などを見るに、自動車より小回りが利き、自転車より高速な乗り物と
いう点で充分に必要性があるとは思うが、確かに利便性では自動車に劣り、エコやフィットネス
的要素では自転車に分があるとは思う。
ただ、それだけにバイクに対する理屈じゃない魅力というものがあり、それを作品全体で
充分に描けていたように思えた。
2018/07/23