STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
主人公らしからぬ主人公
原作は未読。
分割2クールもので、後編視聴済みですが、未視聴の体で書いてます。
フルCGの作画に関しては好き嫌いが別れそうだが、個人的には問題なし。これはCGの
無機質な印象の気持ち悪さが、この作品の不気味さに合っていたためかな。
IBMなどはむしろCGの良さが発揮されていたような。
人間社会の中に生きる異種を扱った作品はそれなりにある。これを書いている最近でも
「東京グール」シリーズや「デビルズライン」などはその手の作品。
ただ、同系統の作品に較べて、本作での亜人は目の色が変わるでもなく、牙が生えるでも
なく、身体的にはまったく人間と同じ。にも関わらず、人間扱いされないという悲しさ。
更に種(そもそも異種なのか?)として、人間を食べたり、吸血したりといった害を与える
わけでもないのに、亜人自身の経済的価値ゆえに追われるというかなり理不尽な目に合う存在。
まあ害を成さなくても、何かあった時に殺害という手段を使ってでも制御できない存在と
いうのはそれだけでも恐怖の対象なのかもしれない。
この亜人の不死という特徴だが、単に死なないだけでなく、生き返ると健全な状態に戻ると
いう特性を利用して、自殺することで負傷などを治していくバトルシーンは結構印象的で
あった。
本作の面白さの肝はキャラにあるといった感じで、まず主人公の永井 圭からして、主人公
らしからぬ性格なのが面白く、かつ新鮮。
かなりドライな性格だが、徹底した利己主義やサイコパスの類とはまた違うようで、友人の
海斗を始め、彼の逃亡を助けた人には情を見せるといった具合。
これなどは自分にメリットがある人間には親愛の情を見せて利用していることもあるの
だろうが、それだけではない部分があり、そう単純なものではなさそう。
そして、永井以上に印象深かったのが亜人の佐藤で、飄々とした態度でやることはかなり
えげつない。
亜人の人権のために動くという革命家のようなスタンスを取っているが、自身の殺人好きな
ところなど、単に自身の行動に理由付けするためのお題目に過ぎない印象。
本作をアクションものとして見た場合、一番活躍していたのが佐藤で、そのバトルシーンは
見どころの一つといった印象。
本作でも相当なことをやってのけるが、後編も何をしでかすか気になる存在である。
印象深いと言えば、マイルドセブンFKのためなら拷問にも屈指ないというオグラ・イクヤも
かなりいかれた感じ。
あと自身は割とノーマルな性格みたいだが、亜人でありながら、それを戸崎 優以外に
知られることなく亜人管理委員会にいる下村 泉も立ち位置が面白い存在。その立ち位置ゆえに
亜人を人間扱いしていない発言にショックを受けながらも、それを黙して受け入れていくシーン
などはなかなか悲しいものがある。
2018/06/30