「蒼の彼方のフォーリズム(TVアニメ動画)」

総合得点
67.9
感想・評価
594
棚に入れた
3185
ランキング
2283
★★★★☆ 3.5 (594)
物語
3.3
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.5

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

三次元的新スポーツの面白さ

 原作は未プレイ。
アダルトゲーム原作のアニメ化の図式としては、既出作品の「ワルキューレ ロマンツェ」と
類似したものを感じる。
 アダルト要素を無くすこと自体は多くのアダルトゲームの一般アニメ化ではよく見られるが、
いずれもそれに伴って恋愛要素も無くして、作品のメインモチーフであるスポーツものに特化、
更に主人公を男性からヒロインの一人にシフトする点など。
 個人的には「ワルキューレ ロマンツェ」はそれがうまくいった印象があるが、本作も王道的
熱血スポーツものとしてうまいこと仕上がっていたように思える。
 「ワルキューレ ロマンツェ」は幾分エロ要素は残していたが、本作は一切排除しており、
そういう点では多くのヒロインを出しながらファンサービス皆無の
「ガールズ&パンツァー」や、これを書いている時点で放映中の
「ウマ娘 プリティーダービー」に似たテイストも感じる。

 メインモチーフであるグラシュ、及びそれを使用したスポーツのフライングサーカスが
まず興味深い。
 今でこそ、飛行機を始めとする空を飛ぶ乗り物の価値は、人員や物資の高速移動や、
軍事利用における優位性などに置かれている感があるが、人間がそれを開発した動機としては
「鳥のように空を飛びたい」といった、空への憧れのようなものがあったはずで、グラシュには
生身のまま空を飛ぶという原初的欲求を叶えてくれるような楽しさが感じられた。
 作中でそれを目一杯感じていたのが、主人公である倉科 明日香で、やはり主人公に相応しい
存在かなと。
 また舞台が四島列島(五島列島がモデル?)という風光明媚な島ゆえに、より空を飛ぶことに
よる気持ち良さや解放感のようなものが感じられた。
 フライングサーカスもスピードレース的側面と格闘技的側面を合わせ持つルール自体が面白い
もので、更に空中が競技フィールドゆえの三次元的戦術が、現実のスポーツでは見られない
こともあってか、かなり楽しめた。それを表現する作画もスピーディーでなかなか見応えの
あるもの。
 こういったスポーツ的要素以外にも飛行しながら登校するといった日常の光景も楽しい。

 キャラに関しては中心となる明日香と鳶沢 みさきの二人のヒロインが印象的。
 明日香に関してはやや控えめで気弱な雰囲気が、キャストの福圓 美里氏の演技もあって、
とにかく可愛らしいが、表面的な雰囲気とは裏腹に芯の強さのようなものが感じられる
ところが、なかなか魅力的。
 一方のみさきも何をやらせてもそつのないところから来る余裕なのか、全体にマイペース
振りが目立つが、その反面フライングサーカス時における荒々しさとのギャップがなかなか
カッコ良い。こちらもキャストの浅倉杏美氏の個性的な声質もあってか、かなり印象的な
キャラに仕上がっている感じ。
 いずれもストーリーの中で挫折からの復活など、人間的成長が見られるのが良かった。

 ヒロインが印象的だったのに対して、主人公シフトの割を食った感があったのが日向 晶也
(「ワルキューレ ロマンツェ」の水野 貴弘も同じような感じであったが)。
 それでもヒロイン達の頑張りに意を決して、自らグラシュを履いて明日香を直接指導し始めた
シーンは数少ない見せ場かと思っていたら、すぐに顧問である各務 葵もグラシュを履いて
登場して見せ場を奪ってしまったのは、少なからず笑ってしまった。

 ゲーム原作の場合、原作が膨大な情報量のためか、尺不足感を感じる作品が多いが、本作も
ご多分にもれずといったところ。
 それでも明日香、みさき、晶也の過去の関係性などがそれとなく判るのはなかなか良かった
かなと。

2018/06/03

投稿 : 2018/06/03
閲覧 : 311
サンキュー:

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