Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「ここで終わりじゃありません…私たちが目指しているのは全国です…!」
言わずもがなですが、この作品は「響け!ユーフォニアム」の2期に相当する作品です。
物語に繋がりがあるので、前期を未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。
1期では、京都府大会を勝ち抜いて関西大会出場の切符を手にした北宇治高校吹奏楽部…
京都府大会までの道のりは決して平坦ではありませんでした。
全国大会出場を目標に厳しい練習に耐え、演奏メンバーのオーディションでは実力のある者以外を振り落とし、徹底的に勝つ事に拘ってきました。
みんなで一緒に辛い練習を頑張ってきたのに、こんな結果になるなんて…
でも一方で全国を目標にするという事は、特に非情にならなければ決して手が届かないことも部員のみんなは身を以て知ったと思います。
だから、関西大会は目標ではなく通過点…
振り返ってみると、ここまででも十分熱い物語だったと思います。
この作品はその続編なんです…
だから思い切り期待させて貰っていましたが、完走して振り返ってみると期待以上の作品を見せて貰ったと思っています。
夏休みに入ると講師陣も増強され、練習は厳しさの一途を辿っていきました。
そしてこの作品を見て思ったのは、上を目指すなら膿を残していてはいけない…という事でした。
今の2年生と3年生の間に起こったイザコザ…実はずっと引きずっていたんです。
事の始まりは去年退部した傘木希美が部に復帰したいと申し出があった事でした。
部活動なので本来であれば入るのも辞めるのも本人の意思が尊重されて然るべきだと思います。
けれど、3年生から許可が下りなかったんです。
何故許可が下りなかったのか…その答えは物語の進展に伴って明らかになるのですが、色んな意味で胸の痛む話だったと思います。
優しさって色んな形があると思います。
そして人は些細な勘違いからその優しさに気付けない時だってあります。
だって人は間違える生き物なんですから…
でも些細な勘違いが生んだ傷は、時に致命傷にだって成り得ると思うんです。
それが特別であればあるほど…大切であればあるほど傷は容赦なく心を抉るから…
そんな彼女を周りからそっと支えるのも優しさ…
でも周りができるのは傷を癒すことだけ…治す事はできないんです。
だから怖くても勇気を振り絞って向き合う必要があった…
でも、一歩踏み出して本当に良かったと思います。
だって学校に響き渡る音色は涙が出るほど綺麗でしたから…
それに…笑顔が戻ってきました。
リードを咥えながらちょっと首を傾げた真正面の笑顔…大好きです。
一時は騒然としたイザコザをすり抜けた先で待っていたのは関西大会でした。
ここから一層部が引き締まっていくのが肌で感じられます。
そして舞台裏…
これまで厳しい練習を乗り越えてきて先生からは太鼓判を貰った…
だから絶対に大丈夫…
でも吹奏楽は集団ですから、心が揺らぐ人がいてもおかしくありません。
ましてや3年生はここで負けたら後がない崖っ淵…
励ましとも自分の心に言い聞かせたおまじないとも取れる言葉のやり取りの後のたった1動作…
私の涙腺ポイントはここにありました。
舞台裏だって決して狭い訳ではありませんし、部員だって点在しているんです…
それに前の組が演奏しているから声だって絶対届かない…
けれど、その1動作は部員全員にあっという間に伝染していくんです。
しっかり気持ちが繋がっている何よりの証拠…
自分はこういう演出にトコトン弱いようです…
関西大会決戦…北宇治高校吹奏楽部の結果は如何に…!?
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
アニメ流行語大賞2016年金賞に輝いた台詞が待っていてくれていますよ…
心にグッとくる一言だったと思います。
でも物語はここで終わりじゃありません。
ユーフォニアム担当の3年生、田中あすかの話
久美子の家庭内での…お姉ちゃんの話
麗奈の話
これらを全部ひっくるめて久美子が何を感じて…何に気付いて…どんな言動をとるのか…
もう見どころが満載です。
言っておきたいのは一つだけ…主人公の黄前久美子役を演じた黒沢ともよさんの演技が鬼懸かっている事です。
私は涙無しには見られませんでした。
オープニングテーマは、TRUEさんの「サウンドスケープ」
エンディングテーマは、北宇治カルテットの「ヴィヴァーチェ!」
エンディングの楽曲はZAQさんがが提供されています。
どちらも甲乙付け難い良曲ですが、強いてあげれば1期同様エンディングでしょうか。
1クール13話の物語でした。
涙腺ポイントがあちこちにありましたし、気持ちもだいぶ熱くさせて貰いました。
今期のBEST10では間違いなく上位に入る作品だと思います。
そして…お気に入りの棚がまた賑やかになりそうです。