シャベール大佐 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
つまらなくはないけど地味
出版社の営業部所属なのにコミュニケーションが苦手な主人公・馬締光也(まじめみつや)が、その言語感覚の鋭さを買われて辞書編集部にスカウトされ、新しい国語辞典「大渡海」を完成させるため、ひたむきに取り組む姿を描く作品。ノイタミナ枠で全11話。
小説原作で、いかにもノイタミナ、という雰囲気。
辞書は、学生時代はもちろん、今でもたまに使ったりしていて、かなり身近なものでありながら、どうやって作っているのかを深く考えたことはなかったので、この作品の内容自体は興味を持って観ることができました。辞書を作るために費やす年数の長さには素直に驚きましたし、用例採集カードなんて存在すら知りませんでした。この作品を観るまで、辞書の「あとがき」を読んだこともなかったです。(辞書の中身にそれぞれ個性があるということについては、三省堂の新明解国語辞典の語釈が面白いことをネタにした本があったりして、それなりに興味はありましたが)
ただ、そういった知識欲を満たすような面での面白さとは別に、単純に物語として、あるいは娯楽アニメ作品として楽しかったかというと、まあそれなりに、といった程度の感想になります。
やや変人の社会人男性が主人公。やっているのは辞書編集という、動きのない地道な作業。舞台は東京の神保町あたりでしょうか、馬締が暮らす古い下宿などには趣もありますが、特に美しい風景というわけでもなく、全体的に画面に映る絵に華がないです。また、小説原作ということで、全11話に分割すると毎回に必ずストーリーの山があるというわけでもなく、つまらなくはないけれど淡々と過ぎていくという感じもあって、やはり地味な作品という印象は強かったです。
キャラで印象に残ったのは、馬締よりもむしろ西岡。チャラい社員というイメージの陰に、思いやりや真剣さのある有能な人物で、なかなか好感の持てるキャラでした。神谷浩史の声も良かったです。
音楽はED曲は好きでした。
最後まで観て、個人的には特に好きな作品というほどでもありませんでしたが、アニメではあまり多くないジャンル、作風なので、ノイタミナ枠にはこういう路線を今後も続けてほしいと思います。
(余談ですが、手持ちの辞書で「右」を引いてみたら、「この辞典を開いて読む時、偶数ページのある側を言う」なんて書いてあって、ちょっと感心しました)