どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「勝ったなガハハ!」新人声優の群像劇、お仕事よりも業界物路線。ちーさまを愛でられるかどうか?
「俺ガイル」の作者による、声優を描いたライトノベル原作、全12話です。
新人女性声優の奮闘記な感じですが、「それが声優!」と比して(良くも悪くも)ユルいです。
能天気で自信過剰なヒロイン・ちー様が可愛い裏で、声優・アニメ業界の闇(っぽいもの)も垣間見せ…つつ、主力は交流劇&成長劇な感じ。
…良くも悪くも、さほど深刻な作風ではないので、過度な期待をせず、ちー様を愛でられれば、中々楽しく観易い娯楽作品でした。
「勝ったなガハハ!」(負けフラグ)
※リアルちーさまの棒演技を知りたければ「帰宅部活動記録」を是非!?
(帰宅部活動記録、私的に超お気に入り)
{netabare}『物語』
新人女性声優のサクセスストーリーなんですが、とにかくメインヒロインの烏丸千歳(通称ちーさま)のキャラがすごい。
見た目は可愛いが性格も声優としての意識や実力もダメダメ…
そんなちーさまが、あれよあれよと人気声優への道を駆け上がる!
ように見えて、出演作が難ありまくりな駄作だったり、アニメ業界のヤバそうな一面(九頭Pと社長のいい加減な仕事ぶりや、アイドル声優のイベントで誤魔化す等々)で終始不穏な予感が漂っていたり、声優お仕事物というよりも「アニメ業界裏話?」的な(やや後暗い)面白味がありました。
ダメダメなちーさま含めて声優お仕事物としては見所ビックリするくらい無く、どちらかというと「Wake Up, Girls!(ウェイクアップガールズ)」みたいな新人アイドルが業界の闇に翻弄される感じの不穏さが。
九頭Pと社長のいい加減な仕事ぶりに、真面目組や原作者側が振り回されるコメディーは、素直に笑えるかは微妙な所。
…アニメ好きとしては正直あまり知りとうない闇だなぁ。
でも(去年、軽く流行フレーズだった)「勝ったなガハハ!」といい加減な雰囲気で、コミカル寄りに流されていたので、そういう作風と割り切れば、まずまず面白かったです。
良くも悪くも優しい世界(甘い世界?)なので、終始一抹の不安がありつつも、割と気軽にちーさま達の可愛さ愛でる楽しみ方が出来たです。
一方で真面目な声優物としては、ちーさま以外の面々が担当。
プロ意識が高く、アイドルに甘んじる境遇を潔しとしない柴崎万葉(しばさきかずは)のドラマが一番良かったです。
実家の山形に帰郷するエピソードがかなり良かった。
頑固な親との葛藤を経て、実はちゃんと応援してくれていた親の有難味、声優の仕事にもっと柔軟に取り組む心境の変化など、成長劇としては万葉ちゃんが随一でした。
他メンバーもそれぞれのドラマあり、同じ道を目指す者同士の交流など、群像劇としても良い感じ。
…肝心のちーさまはあんまり関われてないんですが、一種特別な立ち位置確保していて許せる感じなのは、流石ちーさま。
後半は九頭Pの奮起と成長ドラマも見所か…と思われたものの、尺不足か目に見えた成果は微妙。
終盤はちーさまの挫折→奮起が王道お約束でまずまず盛り上がりますが、良くも悪くも優しい世界。
ちーさまのドラマは微妙でした。微妙ながら、これはこれで気持ち良く纏まっていて悪くはなかったかも。
総じて不穏や不真面目に見えて、案外優しい世界での群像劇でした。
真面目な業界物、成長物としては過度な期待は出来ませんが、全般的に親しみ易かったです。
…決して良作とは言い難い面もありますが、「過度な期待をしなければ」面白かったです。
『作画』
ちーさまが可愛くって好み。勝ったなガハハの表情など随所に萌え所が。
他も全般にキャラデザが可愛いです。
『声優』
ダメ声優ちーさまを演じるは、今や人気の若手、千本木彩花さん。
初主演「帰宅部活動記録」の九重クレアお嬢様の棒演技から大成長されましたねぇ…。
ちなみに同時期の「マジきゅんっ!ルネッサンス」の愛ヶ咲小花ちゃんでもあり。
悟浄君の梅原裕一郎さんも一条寺帝歌役だったり。
その他も好演、キャラと中の人のキャリア少し通じる感じ?
七海ちゃん役の佐藤亜美菜さんのあざとい可愛さ十分でした。
石神井(しゃくじい)Pがまさかの速水奨さん、こういう速水さんも良い!
『音楽』
OP「Bloom」が本編以上に良主題歌でした。
歌詞の意味も発音もサビの盛り上がりもバッチリ。
EDも親しみ易い。
楽曲面でかなり好感が持てました。
『キャラ』
ちーさまこと烏丸千歳ちゃんを好意的に見れるか否かで評価割れそう。
成長劇は他メンバーに譲るとはいえ、ちーさまがいなければ本作の魅力大幅減だったのも事実。
ダメなくせに楽天的な自信家、甘えていて努力嫌い「リトルウィッチアカデミア」のアッコと似ている(本作の方が放送早い)
でも実際才気溢れるし、憎めない感じ。あと「ダメ」ではあっても決して「クズ」では無いと思う。
毒舌で腹黒いけれど腹黒さが素直故にむしろ好感が持てる。
「人類は衰退しました」のわたしちゃんにも通じるタイプ。(ただし、わたしちゃんより遥かにアホの子)
…もう少し「恐ろしい子!」的な才能の片鱗見せてくれたり、終盤の成長劇に説得力あればなお良かったです。
でもまあ…かわいいから大丈夫だ!
群像劇としてのキャラ層は厚め。
「それが声優!」の鈴ちゃんポジの八重ちゃん可愛いんですが、やや奥ゆかしい。
最年長者としての人生経験がある関西弁の京(こと)ちゃん一番面白味あり。
最年少ながら演者としてはプロな百花ちゃんも可愛い。
最萌は天使のように無垢であざとい七海ちゃんでした、かわいい。
一押しキャラは、意識高いクールビューティーな万葉ちゃん。
声優業的にも交流的にも次第にデレていく、かわいいです。
酔っぱらったり、山形弁かわいかった♪
ちーさまに次ぐ本作もう1人の主役…だと思う、九頭P。
この人のダメっぷりが良くも悪くも本作を牽引していた。
速水さんもとい石神井Pとのライバル対決が見たかった…。
「勝ったなガハハ!」な社長も良キャラ、終盤の真面目モードは中々かっこよかった。
他に、万葉ちゃん百花ちゃんの親が良い感じ。親世代が良いと作品の印象良くなる。
兄の悟浄くんはいま一つ存在感見せられず。
妹萌え的にも、仕事人としても。
地味ながらちゃんと役割は果たしてはいましたけど。{/netabare}