Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
金色毛鞠…そういう事だったんですね
この作品の原作は未読です。実は放送が始まる前は視聴を迷った作品でした。
タイトルから食に関する物語だと思ったからです。
別に食に関する作品が嫌いな訳じゃありません。
でも黄色のコートと長靴を履いた可愛い子供のキャラデザを見て、「甘々と稲妻」のつむぎちゃんを思い出し、料理+子供パワーあふれる作品なのかな…と思い直して視聴を決めた作品でした。
この物語の主人公は、東京でウェブデザイナーの仕事に就いている独身30歳の俵宗太…
彼の実家は香川県でうどん屋さんを営んでいましたが、実家を継ぎたくない一心で東京に飛び出していったのでした。
月日は流れ…やがて父親の死をきっかけに帰省することになったのですが、今はもう使われていない製麺所の釜の中で眠っている見知らぬ子どもと出くわしたのです。
それが宗太と…ポコの出会いでした。
そしてこの出会いがきっかけとなり…この物語が動いていきます。
完走して振り返ってみると、とてもハートフルな作品でした。
まず1番目はポコをはじめとする子供たちと…成長する様がしっかり描かれている事です。
ポコの笑顔は見ている人の心を温かくしてくれます…
お話は少し苦手…だけど一生懸命伝えようとする姿勢と、少しずつ覚えようと努力する様は、見ていて微笑ましいです。
子供は失敗して成長する…そんな一面を持っていますが、大事な約束は決して忘れたりしないものです。
そしてそれはポコも同じ…
宗太がポコと大切な約束をしたのは、ずっと一緒にいたいから…
幼心にポコもそんな宗太の気持ちに気付いていたのでしょう…
だから約束を違えない様にするためポコは必死でした。
子供の成長…という点においては、地元のママ友との繋がりが個人的にはツボでした。
既婚で2児の母であるそのママ友は、遠い昔に淡い気持ちを抱いた人でもありましたが、それも今となっては良い思い出…
何よりそのママ友の長女がポコとすっかり仲良しになって二人で一緒に走り回る姿は印象的でした。
そしてその子はこれまで出来なかったことが次に会ったら出来ている…そんな如実の成長が感じられるんです。
子供の成長には個人差があると実感した場面でもありました。
そして2番目は家族…あたり前ですが、この繋がりがとても温かく描かれている事です。
自分が子供の頃を思い出すと、自分の傍らにはいつも父と母と姉がいて…みんな笑っていました。
自分の実家がうどん屋である事…いつから嫌になったんだろう…
小さい頃は父親の跡を継いで自分もうどん屋になりたいと思っていたのに…
学校を卒業して…どうして地元を離れたんだろう…
仕事では良い巡り合わせによってなんとかうまくやってこれた…
その分犠牲になったのは家族と過ごす時間…
父の生きているうちにもっと色んな話をしたかった…
でも本当にそれが考えられるのは、往々にしてその望みが叶わなくなってからなんですよね…
離れていても電話1本で声も気持ちも届けられるというのに…
なんでそのちょっとができないんだろう…
だから「後悔」というのですけれど…
宗太が帰省して…もう誰もいない実家に残された思い出に触れて感じる事…
良い思い出も後悔も…すべてこの実家に詰まっていました。
そして物語の終盤…悪い予感が的中する出来事が起こってしまいます。
これまで精一杯頑張ってきたのは見ていてしっかり感じていました。
もうきっと限界だったんだと思います。
でもその後に画面いっぱいに広がるのは、きっとこれ以上無い珠玉の数々…
このために…こんなにも頑張ったの…?
そう思うと溢れる涙が止められませんでした。
ここで見た珠玉…優しさで出来ていたんだと思います。
こんなハートフルな物語…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、WEAVERさんの「S.O.S.」
エンディングテーマは、GOODWARPさんの「Sweet Darwin」
この作品のオープニングが好みでした。カラオケでも挑戦してみましたが、歌っていてとても気持ちの良い歌だと思います。
1クール12話の物語でした。
こういうハートフルな作品は、毎期1作は欲しいところです。
レビューを書くためにwikiをチラ見した時に知ったのですが、ママ友長女の田中のぞみちゃん…CVは本渡楓さんだったんですね。
最近よく名前を見かけますが、無理して体調を壊したりしない事を願っています。
この作品の原作は未だ続いているようなので、終盤はアニメオリジナルだったのかもしれませんが、しっかり堪能させて頂いた作品でした。