STONE さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
イタリアでのひととき
全体的な印象としては原点回帰といった感じで、第1期に近いものを感じる。
ここのところのルパン三世はファミリー向けの時間帯が多かったために描きにくかった要素が
深夜アニメのために描けるようになったのが大きいのではないかと。
ストーリー的にはルパン三世一行のイタリアでのひとときといった感じで、ほぼ全編
イタリアが舞台。そのためイタリア観光しているような楽しさもあった。
いつものレギュラーメンバーに加えて、本シリーズ用のレギュラーキャラが登場するのが、
本シリーズの特徴といった感じ。
レベッカ・ロッセリーニは初回にいきなりルパン三世と結婚するというインパクトある行動で
印象付け、その後もその若さ溢れる行動はレギュラーメンバーにはない新鮮さを感じるキャラ
だったが、彼女がいたことで逆に峰 不二子の大人の女性としての魅力が際立つといった感じで
ダブルヒロインが効を奏していたように思えた。
一方、ニクスは冷酷なエージェントと家庭を大切にする男という、表と裏の顔が面白い。
MI-6のエージェントと言うことで、やはりジェームズ・ボンドを思い出してしまうが、風貌も
どことなく現ボンド俳優のダニエル・クレイグを思わせる感がある。
このニクスと本部長のパーシバル・ギボンズの格闘シーンだけ、別作品のような妙に気合いの
入った作画になったが、あれは何だったのだろう?。
一話限りのゲストキャラも魅力的なキャラが多く、そのキャスティングも割と豪華。
基本的には一話完結の話が続いていくが、随所随所に後に続く伏線が張られており、
2クールで一つのストーリーを楽しめるのも本シリーズの特徴といったところ。
各単話もハードボイルド風の回あり、コメディ色強い回あり、ハートフル回ありといった
具合にバラエティに富んでいた。
頭脳戦のような話はストーリーが割と単純で、もう一ひねり欲しかったが、逆にキャラを
活かしたような人間ドラマ回はいい味を出していた回が数多かった。
2クールゆえに次元 大介、不二子、石川 五ェ門、銭形警部の各キャラに焦点を当てた回も
あるが、いずれも既にキャラの特性は充分に知られているため、殊更キャラの特徴を描写せずに
ストーリーや雰囲気の描写に時間を割いている印象。この辺は長きに亘るシリーズの強み
かなあと思ったり。
全体を貫くストーリーは前半が浦賀 航のイタリアの夢、後半がレオナルド・ダ・ヴィンチの
世界解剖が山場といったところで、ルパン三世と言うと時折SF的展開を見せる回があるが、
本作もそんな感じ。
この前半と後半の間にあるルパン三世脱獄の回は、第1期の脱獄回のオマージュとも言うべき
内容。
更に前半と後半もそれぞれ独立したものではなく、イタリアの夢が後半への伏線になって
いたりで、なかなか上手いシリーズ構成だなと思った。
このイタリアでのルパン三世はレベッカとの結婚に始まり、レベッカとの別れに終わるが、
今回も最後はレベッカの心を盗んでいっちゃったみたい。
これまでは多少の違和感があった不二子役の沢城 みゆき、五ェ門役の浪川大輔、銭形警部の
山寺 宏一もすっかり馴染んだ感があった。