STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
もう一つの昭和?
分割2クールものだが、後半未視聴の体で書いてます。
超人が存在する世界の「神化」という年号の時代を描いた作品だが、この「神化」という
年号が、現実世界の「昭和」に相当するもので、「超人が存在する昭和史」という一種の
パラレルワールドを描いたものとも言えそう。
基本的には異能バトルものだが、善対悪といった単純なものではなく、戦後の日本における
超人という存在を描くことで、社会における超人の捉え方を根本的に考えるような作品。
ストーリー的には主人公である人吉 爾朗を主軸に話が進められるが、視点は星野 輝子に
よるものが多く、見方によっては星野がもう一人の主人公であるとも言えそう。
超人と言うと、多くは超能力者、ミュータントなどを差す作品が多いが、本作は前述に
加えて、妖怪、お化け、魔法使い、未来人、宇宙人、サイボーグ、ロボットなど、かなり範疇の
広いもの。
前述のように「神化=もう一つの昭和」といったものゆえに多くの超人の元ネタは昭和の
アニメ、漫画、特撮作品から来ている。例えば星野の魔女っ子という呼び名などはいかにも
昭和感を感じるもので、今なら魔法少女だよねえ。
設定的には最初から一つの世界観に配置されたキャラ達だが、元ネタが多岐にわたるため、
「Fate」シリーズ、「Re:CREATORS」などのような異なった世界感のキャラが一堂に会する
クロスオーバー的作品に通じるものがある。
キャラ以外にも作品内で描かれる事象、風俗なども昭和に元ネタのあるものが多く、いずれも
元ネタ探しが楽しかったりする。
ただ、いずれも元ネタが昭和ゆえに、昭和に関心が薄い人だとあまり面白みを感じない作品
かもしれない。
演出上、印象に残るのが場面描写が時系列順ではないこと。
フィクション作品において、描写の順序を変えることでミステリー、サスペンス要素を得る
演出テクニックがあるが、本作品でも一つの案件の過去と未来の描写において爾朗の立ち位置が
変わっていることで、「この間に何があったのか?」というミステリー要素をうまいこと付加
させていたみたい。
ただ、時系列順でない分、全体の流れが掴みにくいという感はある。
全体を通しては、あまり話が進まない感があったが、分割2クールものゆえにこの前半で
キャラ、伏線などの各材料を揃えて、後半で一気に話を進めていく展開なのかな。
昭和の曲のカヴァーがなかなか楽しいのだが、アレンジが今風になっており、神化を舞台に
した劇中曲としては、らしくないアレンジなのかも。