ヤマザキ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
Viva!影の功労者
北宇治高校が吹奏楽コンクール京都府大会に挑むにあたり、コンクールメンバーに選抜されなかった「チームもなか」を追ったストーリーです。吹奏楽コンクールには定員というものがあって、それ以上の部員を抱える学校はどうしてもコンクールに出られない人たちが出てしまいます。こうした時にコンクール出場メンバーを「年功序列」で決める学校と、あくまで「実力本位」で決める学校があって、この北宇治高校は実力本位でメンバーを決めた結果、7人の1年生と、3人の2年生がコンクールに出られなくなってしまいました。とはいえ彼女たちはそれに腐ることなく、コンクール当日には事前に用意した手作りのお守りを配ったり、あるいはトラックへの楽器の積み卸しを積極的に行うなどして、しっかり出場メンバーを支えていきます。
ここで活躍するのが、北宇治カルテットで唯一この年のコンクールに出られなかった加藤葉月(tuba)。彼女を主人公にこの話は展開します。この日、久しぶりの金賞を取り、かつ、関西大会出場を決めたコンクールメンバーの大半はおそらく知らないことになっていると推測しますが、葉月は{netabare}パーカッションのナックル先輩が部室に忘れたバスドラム用のマレットを単身走って取りに戻り、コンクール本番に間に合わせるという{/netabare}隠れたファインプレイを成し遂げます。と同時に{netabare}、本編中、あがた祭りの日にフラれてしまった塚本秀一(tb)への恋心も封印するという、{/netabare}ちょっと悲しい決心もしています。
コンクールに出られないメンバーがまったく腐っていなくて、あくまで出場メンバーのサポートに徹しようという姿勢がとてもいじましく、そしてちょっとだけ哀愁を誘うものでありました。葉月はまだTuba初心者(楽器を吹き始めて3~4ヶ月といったところ)なので、落選は比較的すんなり受け入れられていたようですが、案外こうした時って部の中がもめるんですよね。
以下、私の経験談になります。もうずいぶん昔の話になりますが、私が卒業した中学校の吹奏楽部は、部員が100人以上いるマンモス部で、各学年が30人以上いました。なので、3年生はほぼ全員出られたのですが(でも私が2年生の時は数人の落選者が出た)、2年生はだいたい半分が落選しました。その2年生が最上級生になったときには、そのコンクールの人選が部内を「コンクール出場組」と「コンクール落選組」に完全に分けてしまい、このほぼ同数の派閥のいざこざで、部を引退するまで内部がゴタゴタしておりました。そんなこともあって、私が中3の時のコンクールでは涙を呑んだものですが、この北宇治高校のチームもなかをみるにつけ、ああ、私の母校でもこんなだったらなぁ・・・とちょっとうらやましく感じました。
本作は爽やかな青春の1ページという感じで、観ていて非常に後味の良いサブストーリーだったと思います。
【くだらない余談】(以下、あまりにくだらないので畳んでおきます)
{netabare}中学2年生の時の私はテナーサックスを吹いていて、運良く吹奏楽コンクールに出場できたのですが、当時もう一人テナーサックスを吹いていた同級生の女子がいて、彼女は落選してしまいました。その彼女の口から、私を大けがさせてコンクールに出させまいとする「ヤマザキ暗殺計画」(具体的には「ヤマザキの通学用自転車のブレーキをひそかに破壊して交通事故に遭わせる」「マウスピースとリードの間にカミソリの刃を挟んでおいてヤマザキの口の中を大けがさせる」などして私をコンクール不出場に追い込み、その補欠として自分が出場する計画)が漏れ出し、ただでさえ仲の悪かった吹奏楽部の中が大荒れに荒れました。実際にはそれが実行されることはなかったのですが、当時はずいぶんと肝を冷やしたものです。
・・・あれから既に30ウン年。今この年になるとそれは単なる武勇伝であり、政治家でもヤ○ザでもない一介の市民なのに暗殺計画を立案されたことがあると、ちょっとした飲み会での自慢話になっております。ははは。{/netabare}