蒼い✨️ さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
戦国ショートアニメでござる。
【概要】
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント/V1Studio
2016年10月 - 2017年3月に放映された全26話のTVアニメ。
原作は、『ヤングアニマル』にて連載中の重野なおき・作の漫画作品。
監督は、大地丙太郎。
【あらすじ】
ときは永禄三年(1560年)。伊賀三上忍の一人・百地丹波の愛弟子の忍びの少女がいた。
名は、千鳥(ちどり)
齢十にして、化け物と言われる一騎当千の戦闘力の持ち主であり、
その反面、難しいことを考えるのが苦手なのでサポート役がいなければ危なっかしい。
性格は善良で明るく可愛らしくもあり、言い方を変えれば間が抜けている。
そんな彼女が幼馴染の助蔵と一緒に、尾張の大名・織田信長に仕える経緯から物語は始まる。
千鳥は5年前に木曽川で溺れているのを信長に助けられて、
その場で天下への大望を聞かされて、心を動かされたこともあり、
「信長の忍び」となったのは、千鳥の本懐であった。
その当時に信長を襲う刺客の一行を返り討ちにしたこともあり、
千鳥は信長の恩人なのでもあった。
織田家は信長の正妻・帰蝶や草履取りの木下秀吉を始めとして変わり者揃い。
千鳥と助蔵は織田家の人たちとコミカルな日常を過ごしている一方で、
東海三国の大大名“海道一の弓取り”今川義元が尾張の地を虎視眈々と狙っているのだった。
【感想】
原作単行本は10巻まで読了。1期は2巻までの内容となっています。
千鳥という女忍者(くのいちに非ず)の視点から、
織田信長の天下布武の道のりが描かれている4コマ漫画が原作。
ギャグ漫画タッチのコメディ風味でありながら、
戦国時代の習いや非情さも扱われています。
この作品の特徴として、戦国武将に関する薀蓄が覚えられることがあります。
例えば、織田信長は下戸で酒が飲めなくて甘いものが大好き。
昭和より情報を集めやすい時代になっていますので
『ドリフターズ』『信長のシェフ』でもですが、
史実の逸話がキャラ付けに盛り込まれるようになりましたね。
昔の漫画の信長なんて酷いのが多かったですもの。
単なる独裁者だったり、サタンに魂を売ってたり、
頭蓋骨に注いだ酒を『ヒッヒッヒ』と笑いながら飲んでいる下品な豪傑(by 本宮ひろ志)だったり。
今でも『群青戦記』みたいに単なるキチガイの暴君扱いなんてお粗末なのもありますが。
今川氏真が落書き顔のネタキャラだったり斎藤龍興がバカ殿だったりと扱いの酷いキャラがいますが、
通説では評価が低めの人物に愛嬌があったり生き方にスポットが当てられていたり、
また、『花の慶次』では慶次ひとりを引き立てるためにケチがつけられた前田利家とまつ夫婦の関係が、
この作品ではバカップル丸出しのラブラブ夫婦であったり、
史実ネタが盛りだくさんで歴史へのリスペクト精神がある作品です。
桶狭間の戦いで重要な働きをしたり、
秀吉の参謀として人気の高い竹中半兵衛が、
斎藤家臣時代に美濃で起こしたクーデター事件に千鳥が同行してたりと、
歴史の陰に千鳥の大活躍ありでして、俺TUEEEEEならぬ、あたしTUEEEEEアニメです。
でも、千鳥はあくまでも陰であり水瀬いのりの声が可愛いので厭味がないのが良いですね。
(原作のアニメ化されてない先の展開ですと千鳥は何度も死にそうになっていますし、
主人公は賢くなかったりとで、万能感に溢れていないのが良い感じ)
アニメ版は原作そのまんまですが、サクサクとテンポ良く進んでいくので観やすいですね。
マイナスポイントは、帰蝶の父である“美濃の蝮”斎藤道三の、
“正徳寺の会見”などの生前のエピソードが丸ごとカットされたぐらいで、
原作を読んで比較したうえでの満足度は95%ぐらい。
将来的に“本能寺の変”で原作漫画は終わると思いますが、
アニメ版でも、そこまで何期でも続けて欲しいと思いました。
しかしまあ、史実の信長と伊賀の里の関係の変遷を知っていますと、
信長と千鳥の関係にも悲劇的な結末が予想できるのですが、
作中での鉄壁の信頼関係がかえって怖かったりしますね。
原作を読むとフラグみたいなものが見られますし。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。