デリダ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
噛めば噛むほど味の出る、心に残り続ける作品です。
正直最初見ていた時はあまり世界に対してのみ込みが追いつかなく
あれよあれよという間に見終わってしまったんですが、一週間くらいしてから
あれ?なんかすごい充足感長続きしてないか、、、、
ひょっとしてこれは隠れに隠れた名作なのでは、、、、、
時間が経って記憶が薄れかかったら思い出すように
またに見てって感じでもうかれこれ5周くらいしてます。
レビューでは肯定的な意見の方が多いですね、
他サイトだとやっぱりバッシングが多くて
それに対することをレビューで言ってる人も多いですね。
この作品はかなり意見が分かれる作品だということは
見た人全員が感じることだと思います。
ネットの紹介では酷いパクリの複合体だと
とんでもないバッシングをくらってましたが、
興味が湧いてみて見ると充実感がすごい。
この物語とても意味深なのですが、
世界についての私たちに直接わかるような説明が一切ない。
真理みたいな説明はなく解釈として紹介されるだけで
宗教的観点から、科学的知見から、、みたいな感じで
この世界観を把握する手掛かりにはなりきれません。
アニメと言うより映画を見ている感じといった方がいいのでしょうか。
このアニメで描かれる世界や物語は少なくとも
主人公のために用意されたものではないと考えると私は非常に納得します。
いわゆるセカイ系とは全くの正反対ですね。
主人公らしくないんですよね、彼が。
最初から人間として完成されていて見ていて
とてもスッキリするかわりにそんなに魅力的なキャラクターではない。
むしろ人間くさい親や友達周辺の人間の方がはるかに情動的で物語の主人公らしい。
そんな中で主人公が世界から求められる役割はヒルコとの対話とこの世界を理解すること。ナキアミは生きたければ思弁しろと言ってましたが、
まさしく運命を変えろだとか、あるいは別に運命を受け入れろと言ってるわけでもなく、まして選択しろと言ってくるわけでもない。
どこかのアニメで見たことあるような世界や状況、
物語の断片がたくさん出てくる中で一切主人公はどこかのアニメにいた主人公のように選択し切り開こうとしないんですよね。
全てを知った大人みたいに振舞って、その中身は何も知らないから知ろうとする大人だけど知ったところで何か劇的な物事を変えるような力は持たない大人みたいな。
常に描かれてるのは主人公の目を通して見る世界の循環、、、、
エンディングでも登場人物の頭上に同じ光が走る、みたいな感じでしたし、、、、
そんな風に感じてしまって、なんだかとても哲学的だなあと、、思ってしまったんですがどうなんでしょう?
ぜひ他の人の感想も聞いてみたいんですよね。
周りがこのアニメを知っている人が少ないので。
主人公という役割が持つ必然性や運命ということについて考えたりしちゃいました。
現代哲学ではメイヤスーという人は「有限性の後で」という本の中で自然法則が偶然的である、ということだけが必然的である。
ということを言ってたりしますが
なんか同じことをこのアニメも言ってるように感じてて。
edの曲がvacancyってタイトルで喪失を歌ってるのもなんだか考えさせられちゃって、、、
いや考えすぎなのかもしれませんが、このアニメはすごく力があります。
素晴らしいかどうか正直なところわからないですが見る価値はあると思います。