STONE さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
天才ゆえの特異性
原作は既読。
原作の読書時には真賀田 四季と思われる死体の登場シーンやヴァーチャルリアリティの
多用など、映像メディア、それも実写ではないものに親和性が高そうな印象があったので、
そういう意味ではアニメ化には向いている作品といった印象。
もっともヴァーチャルリアリティシーンは原作とは異なったものになっていたけど。
実際に事件が起きるまではしばらくかかり、それまでは犀川 創平と西之園 萌絵の会話を
中心としたやや地味な展開だが、この会話の内容からこの二人が一般人に較べてやや変わった
人物であることが充分見て取れる。
実際、事件を解決を主軸とする作品でありながら、この二人の関係性を描くという側面も
あるので、この序盤も結構大事だったりする。
あとこの段階で伏線もいっぱいあったり。
ミステリーとしてはいわゆる密室もので、それも舞台が絶海の孤島の中の隔離された部屋と
いう二重の密室もの。
犯人?の入室と退室のトリックはそれぞれ別モノとなっており、入室方法に関してはいわゆる
トリックというものとはちょっと違う。
本作はタイトルそのものの原作に加えて、四季シリーズの要素も取り入れられており、ここで
四季の過去描写があるため、原作より入室方法は判りやすいものになっている。
そういう意味では純然たるミステリーと言うより、四季という天才の思考・人間性を
描くことに重点を置いた印象。そして、それは四季と関わる犀川と萌絵という二人の人間をも
描くことになっている。
一方の退室方法は純粋なミステリーのトリックで、原作発表当時はまだコンピュータが一般に
それほど普及していなかったこともあって、コンピュータを使ったトリックが斬新に
感じられた。
ただ、個人的にはIT関係の業務に従事しているのでそれほど理解には苦しまなかったが、
コンピュータのそれもソフトウェアにある程度の理解がないと判りにくいネタじゃないかと
思う。
こちらに関しては独自OSだからこそのトリックといった印象。
キャラに関しては特に四季という人間は興味深く、今回の事件は過去の事件も含めて、その
天才性が産んだものと言えそう。
一般人の自分からするとかなり歪んだ感性に思えるが、天才は天才なりの感性があるようで、
彼女としては至極まともな行動なのだろう。そういった状況に身を置くことになった普通の
人である四季の娘に関しては哀れな感があるが。
作品自体がシリアスで、犀川と萌絵が変なキャラではあるものの、この二人の立ち位置などに
関しては結構ラブコメの体を持っているところが面白い。犀川の妹である儀同 世津子に対する
萌絵の誤解などはラブコメあるあるそのもの。
キャラデザインはいわゆる萌え要素などはないものだが、それでいて島田 文子が唐突に
スク水になったりと妙なところがあり、それがおかしい。
OP、EDの映像がアートっぽくて、結構印象に残るが、OPに関してはネタバレではないかと
思ったりも。