Dkn さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「アイドルとアニメ」。曲との関係性、軌跡と奇跡、構造の理解。
ウルトラジャンプ連載中のマンガ「コネクト」で、「アイドルマスター」オープニング曲の「CHANGE!!!!」を
カラオケで歌う時に歌詞と合わせて計算された映像やアイマス作中の事を思い出して泣ける!と語っていました。
アニメソングの良い所は曲に合わせて映像やエピソードが思い出せるのが良いとも言っていて、その通りだなとw
「コネクト」は、恋愛モノとして読んでいたら本格的に業界モノとしても面白くなった印象でした。
幼少期から音楽を学んだ少年がニコニコ動画に作曲した作品を投稿し、ネットで有名なボーカリストと組んで、
業界へと現代の等身大な方法で足を踏み入れます。
夢で繋がる若者たちがサブカルチャーの音楽シーンに真正面から向き合いそれぞれの夢を追いかけ切磋琢磨する
近年珍しいくらい清々しいストーリーが好印象ですね。もし本作がアニメ化したら作中の曲が聞けますし、
本当のアニメ業界へと作中の熱が伝わっていく現象もありそうなので、近い将来に実現して欲しいもんです。
作中でアイドルマスターが触れられただけでなく、本作アイドルマスターを語る上で繋がることが多いのです。
元々監督の錦織敦史さんがアイマスファンということもあり、原作を120%理解して再構築したような本作品は、
他作品と比べてもファンの満足度が異常に高く、ゲーム本編にドラマCDはもちろんコンテンツ開始前からあった
声優の顔出し番組で起こった伝説の一コマをアニメで採用するなど、まさしく愛にあふれたアニメ化でした。
アイドルマスターは作中のアイドル達やチームに持ち歌があり、ゲームで使用された曲や過去に発売された曲を
アニメのどの場面で使用するか、書き下ろされた新曲が作中でどんな意味を持つのかが緻密に計算されていて、
曲と一体となったコンテンツだと言えます。
ライブで演ることを前提に声優の音域や性質に合わせた曲作りはオーディション時からスタートしています。
キャラのイメージに合っているか歌声を聞き、ライブ映えも考慮した上で起用されている為に親和性が生まれ、
実際のアイドルプロデュースと変わらないほど綿密にメディアミックスとして作られている事が伺えますね。
「コネクト」では上記のいくつかを音楽制作の目線で描写してくれるので恋愛以外でも楽しめる要素です。
アニメでキャラソンやアイドル声優を扱う作品は、ガーリッシュナンバーや、それが声優!などがありました。
よく「アイドル売り」なんて言葉が悪い意味で使われますが、様々な才能を発揮できる場やメディア展開が、
あっていいと思っていて、業界人も本物の才能を“ないがしろ”にするわけないですから心配ないですし、
ファンが「のめり込む為のギミック」を多重に仕掛けたコンテンツは、息の長い楽しみ方が出来るので、
出費が大きくても嬉しい悲鳴なんです。…お金を何に使うかどこまで使うかは個人の裁量ですから(震え声)
ビジネスモデルとして優秀なアイドルジャンルは何もバンダイナムコゲームスが一から作り上げたものでは無く、
当時のアイドルブームから幻想的なアイドルの文化は衰退したと思われ、長い間不遇なコンテンツだった所から
アキバアイドルなどで復権した時期に、アニメ・ゲーム等のコンテンツが取り入れたことで肥大化していきます。
この辺りは現代のアイドル文化の歴史や事象を紐解いていくと互いに影響を与えている部分や住み分けが面白く、
アニメ・ゲーム業界のアイドルブームは下流なので、実際のアイドルの現場(LIVE等)に通う方々から見ると
数年前の出来事や当時の画期的なシステムを流用している場合があり、既視感を覚える事もあるでしょうね。
実際に活動されているアイドルの逸話やライブ会場で起きた観客が感動したエピソードなどがアニメやゲームの
作品内に盛り込まれていたり、アニメであった出来事が実際のライブ会場で起きる逆パターンもありました。
アイドルコンテンツは計算された構造を捉え、演者の熱量を感じ、成長の「軌跡」や、偶発的な「奇跡」を望むもの。
感動のベクトルがアニメと似ていると感じるのは、互いの親和性を説明できる一つなんじゃないでしょうか。