STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ミステリーメインの異色ファンタジー
原作は未読。
選ばれし6人の勇者が魔神を倒そうとする王道展開から始まるも、その実はファンタジー
世界でのミステリーというコンセプトがなかなか面白い。
1クールのかなりの量を閉鎖状況における謎説きに終始したため、かなりじっくり描いた
印象があったが、逆に言えばやや地味な感もあった。
ミステリー要素としては偽の勇者捜しと、結界発動の謎説きに大別されそうで、クローズド
サークルと密室モノの複合型といった感じ。
前者に関しては人狼ゲーム的趣きがあり、一歩間違えると互いが殺し合うデスゲームにも
なりかねないところだが、主役であるアドレット・マイアが容疑者と目されたことで、逆に他の
勇者間の疑心暗鬼が緩和されたことが大きかったみたい。まあ、アドレットにしてみれば疑心を
全部背負い込んだために大変な目に会うわけだが。
あと判断を誤ると勇者が一人欠けることになり、以後の魔神との戦いを考えると思いきった
行動に出にくいという面もあったのかな。
犯人捜しの部分は純粋にミステリーとしてみると、終盤で隠されていた石版が出てくるなど、
「実は・・・」みたいな部分があって、ややアンフェアな感はあるが、密室のトリックなどは
結構面白かった。
また犯人が判った状態でもう一度視聴すると、序盤から中盤のさりげない描写が伏線
だったり、キャラの発言から察するその心情など、違った面白さがある。
実際の犯人に関する記述は更に一段階下げたネタバレで。
{netabare}
犯人捜しという面ではそれぞれ怪しさを感じさせる描写などがあって、視聴者に各キャラを
疑わせる演出が楽しい。
個人的には独白からアドレットがまず外れたが、作品自体が叙述トリックの可能性も
あるため、絶対とは言い難い感じ。
視聴者(読者)に衝撃を与えるという点では一番意外性のあるナッシェタニア・ルーイ・
ピエナ・アウグストラかなと思ったら、実際にそうだったわけだが、更にメタ的な見方をして、
「原作が継続中ならヒロインの一人を犯人にはしないだろう」とも思ったり。
{/netabare}
ファンタジーとしては、多くの作品が中世、または近世ヨーロッパ風の風俗に近いもので
あるのに対して、インカ、マヤ、アステカなどの中南米文明的風俗だったのが結構珍しく、
新鮮な感があった。
キャラに関しては他の勇者が聖者だったり、戦闘能力に長けた者の中、奇策とも言えそうな
技を駆使するアドレットが面白い。
あとナッシェタニアとフレミー・スピッドロウの二大ヒロインも陽と陰といった感じで、
それぞれ印象深かった。