STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
やられ役ではない自衛隊
原作は未読。
自衛隊と中世系ファンタジーとの邂逅という発想が面白い。
現代文明とファンタジー要素がぶつかるような作品も過去にはあったが、魔法などが存在する
ファンタジー側有利といった印象が強い。
そもそもこういったファンタジー以外でも非現実的要素のあるフィクションにおいては、
実在する武装組織は怪獣、巨大ロボット、宇宙人、超能力者などなどのやられ役という印象が
強く、そういう意味ではリアル側の逆襲とも言えなくもないような。
もっとも、ある程度の魔法やドラゴンはあれど、中心となる帝国の軍隊が弓矢や剣、槍で
武装されたものであるため、実のところ現代と古代〜中世相当のヨーロッパの戦いの様相。
そういう意味ではタイムスリップものの「戦国自衛隊」のような作品の方が系統としては
近いのかも。
原作者の柳内 たくみ氏が元自衛隊員ということがあるのか、自衛隊の描写が結構リアルで、
これが作品に重みを与えているみたい。
ただ、この自衛隊という存在が結構デリケートな問題を呼び込んでいるような印象がある。
この作品自体、国会の参考人招致のシーンに代表されるように原作者の政治的信条が
盛り込まれているようだが、これは観る側においてもその人の思想によって、この作品の評価が
大きく異なりそうな感がある。
これは戦闘シーンなどでも、序盤でのアルヌスでの戦闘や、中盤でのイタリカでの戦闘などの
一方的な戦闘は、組織としての俺TUEEEE状態としてカタルシスを感じる人もいれば、一種の
殺戮と捉えて痛ましく思う人もいそう。
キャラに関しては主役の伊丹 耀司がおじさんで既婚者。こういった主役はいわゆる
アニメでは少ないため印象的かつ魅力的。あまりパッとしない印象だが、実は実力者という
「能ある鷹は爪を隠す」パターンはよくあるものだが、やはりカッコいい。
ヒロインの方も、異世界で出会うテュカ・ルナ・マルソー、レレイ・ラ・レレーナ、
ロゥリィ・マーキュリーが三者三様といった感じで、それぞれが魅力的。
単なる戦闘のみではなく、日本と異世界双方の政治的活動も描かれることで作品の面白みが
増している感があるが、その結果がどうなるかは分割2クールの後編に期待といったところ。