STONE さんの感想・評価

3.6
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

品はないけど、立派なディストピアもの

　原作は未読。
　エロい作品、下ネタを扱った作品は数多くがあるが、それをメインモチーフにして、
真正面から扱った作品は珍しいのでは？。
　ここまでやるとBPO辺りから怒られそうだが、仮に本作に対する指導があったならば、
それ自体が本作における悪的存在である「公序良俗健全育成法」を施行する政府と同じような
形になり、なかなか面白い立ち位置の作品だなと思う。

　いわゆるエロ系なんだろうけど、下ネタが露骨すぎて、ここまで来るとむしろエロさを
感じさせない。本作のような規制というのはむしろエロさを支える一要素なのかもしれない。
　扱っているものは下ネタだが、ディストピアものの色が強く、更に体制側の「焚書坑儒」的
行為を見るに、かのレイ・ブラッドベリ氏の「華氏451」を思い出させるが、「華氏451」が
ある種の品の良さが感じられたのに対して、この作品ときたら。。。(これでも褒めてます)

　キャラに関しては、華城 綾女とアンナ・錦ノ宮の二大ヒロイン？が印象的。
　華城に関しては最初から最後までピー音出しまくりだが、奥間 狸吉のそれを見てうろたえる
など、いわゆる耳年増な印象。
　一方のアンナだが、この娘がおかしくなってから、本作は面白くなってきた感がある。
真面目で実力のある人が狂った方向に走るとこうなるといった怖さも感じる。
　こちらはこちらでアダルトアニメのようなセリフ？が多々で、華城しろ、アンナにしろ、
中の人は大変だったろうなという感じ。
　中の人と言えば、アンナ役の松来 未祐氏が本作放映後、まもなく死去されたこともあって、
本作が遺作の一つといった印象がある。そのために彼女の演技を今、聞くと複雑な感も
あるのだが、コメディとしての演技なのだから、素直に笑うのが本人も望むところだろうと
思ったり。

　中盤における「群れた布地」辺りのくだりはちょっと冗長に感じたが、同じ反体制でも思想・
主義の違いにより対立をしていく過程は、実際の反体制活動におけるものに酷似しており、結構
生々しさを感じる。

　内容的にはくだらないんだけど、それをやりきった感がある作品。