シャベール大佐 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
感情を鷲掴みにされる熱い作品
同じ孤児院で育った幼馴染の2人の少女の戦いを描く格闘技アニメ。「魔法少女リリカルなのは」シリーズのスピンオフ作品です。
元作品をまともに観たことがなかったので、とりあえず観てみるけれど、もし内容が理解できなかったり序盤があまり面白くなかったりしたら観るのをやめよう、といった軽い気持ちで観始めたのですが、最初から特に問題なく、すんなりと物語に入り込めました。そして第4話でこの作品に完全に惹き込まれ、あとはもう毎週手に汗を握るような感覚で観ていました。
主人公はフーカ・レヴェントンとリンネ・ベルリネッタの2人。孤児院を出てから離れて暮らしているうちに、格闘技の選手として活躍していて人格もすっかり変貌してしまったようなリンネに対し、自分も選手になったフーカは、リンネと再び心を通じ合わせるために試合で拳を交える、といったシンプルなストーリー。
フーカとリンネは、その性格、歩んできた道、背負っているもの、格闘家としての特徴などがしっかりと描かれており、また、声を担当した水瀬いのりと小倉唯の演技もとても良かったので、どちらの気持ちもよく伝わってきます。
作画は特に綺麗というほどでもなく、キャラデザもかわいい系なのですが、試合やその他の打撃シーンなどでは、血が飛んだり、歯が折れたり、骨が砕けたりと、かなりえげつない描写もあり、その絵柄からは想像できないような迫力でした。
観ているととにかく、愛情や友情、悲しみや痛みといったものがダイレクトに伝わってきて、ここまで感情を鷲掴みにされて揺さぶられるような作品はなかなかないと思いました。大ベテランの西村純二監督、お見事でした。
音楽は、小倉唯の歌うOP曲、水瀬いのりの歌うED曲、ともに作品の内容と完璧にマッチした良曲でした。また、ED映像では等身を小さくデフォルメされたチビキャラが走っていて、内容が壮絶だった回などは、それまで観ていた熱く激しい展開と、かわいいED映像とのギャップに何とも言えない気分になりました。
最後まで観終わって、怒り、悲しみ、苦しみ、憎しみといった負の感情を、熱い展開で吹き飛ばしてくれる素晴らしい作品だったと思います。個人的には2016年でも特に印象に残る作品となりました。