ヌンサ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
虫プロの本気
キャッチさせていただいている方に影響を受けて視聴しました。視聴後は、何かで頭を強く打たれたかのような衝撃を受けました。
とにかく作画一枚一枚がひとつの水彩画として展示できるんじゃないか、ってくらいの完成度です。ものすごい長い原画を、スクロールで撮影しているカットもあって圧倒されます。今作の原画を、どこかの美術館で常設展示してほしいくらいです。
演出のすさまじさも、筆舌に尽くしがたいものがあります。静止画が多いので、ピクチャードラマと言えなくもないシーンもあります。しかし上記のような絵のクオリティなので、比べ物にはならない程"語りかけてくるモノ"があります。
基本的に全編を通してアヴァンギャルドなのですが、特に中盤とてつもなくカオティックなシーンがあります。「ダンボ」において、酔ったダンボが見た夢のようなヤヴァい感じです。出崎統監督も少し思い出しました。
声優では、某杉田さんが演じているオットン的なキャラクターを、仲代達矢さんが快演していてすさまじかったです。長山藍子さんの妖艶な演技、中山千夏さんのいかにも当時っぽいナレーションも最高でした。
全体的に漂う退廃的な雰囲気は、クリムトを思わせる感じでした。
この作品は、是非アニメ学校に通う人たちに見てもらいたいなと思いました。アニメの限界は底が知れない、ということに改めて気づかされるはずです。
今作に流れている"意志"は、現在のアニメ業界に受け継ぐことはできているのでしょうか。商業的にこのような作品は難しいのかもしれませんが、ブッとんだ作品もたくさん見てみたいなと思いました。(新房昭之監督や湯浅政明監督は、今作から影響を受けているかもしれませんね)