Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
気が付けば5期…4期放送からもう4年半も経っていたんですね。
タイトルから分かる様に、この作品は夏目友人帳の5期を描いた作品になっています。
ゆっくりと静かに流れる時間…
人も妖も飛び込んだ懐は温かくて…
この作品のタイトルは夏目友人帳…祖母のレイコが妖から貰った名前を綴った友人帳…
そして元々は孫の貴志が祖母に代わって妖に名前を返す物語でした。
昔は名前を返して欲しくて貴志や友人帳を直接狙った妖もいましたが、このところ友人帳を巡る騒動はだいぶ落ち着いてきました。
これに伴って妖に名前を返す場面も極端に見なくなりました。
本来の目的からだいぶ離れたようにも思いますが、名前を返し終わった時点で物語が終わったらあまりにも悲しすぎます…
だって、妖にとっての出会いは人のそれ以上の重みを持っていると分かっていても繰り返さずにはいられない…思わずにはいられない…
でも決して自分の気持ちばかりを優先させる事もなく、ただ静かに時が来るのを待っている…
そんな妖の気持ちが分かるから、夏目は妖に手を貸すのでしょう…
暫くクラスメイトや祓い屋との繋がりが主体的に描かれていたのでちょっとおざなり気味になっていましたが、妖の気持ちを描いた物語…やっぱり堪りません。
だから名前を返すのはきっかけにすぎなくて、もっと妖との関係性を深めて貰えたらと思います。
そう思うのも今期を見た影響なのでしょうけれど…
今期の作品の中で大好きな物語が二つありました。
一つはたった一度の出会いに胸を焦がす妖の物語です…
ある雨の日…少女は呼び止められました。
雨に濡れては風邪を引いてしまうよと、男性は少女に手ぬぐいを渡すのです。
私たちにとって、感謝は覚えますが時と共に記憶は忘却の彼方へと過ぎ去っていくでしょう…
でも妖にとってこれは十分すぎる程の出会いなんです。
少女がどれだけその出会いを大切にしてきたか…
少女がどれだけ奇跡を欲したのか…
でもどれだけ焦がれても思い通りに事が進むかは別問題です。
物語の中で少女が名前を明かす事はありませんでした。
なのでエンドテロップでも「少女妖怪 久保ユリカ」としか記載されていませんでした。
だからきっと出演するのは1回きりなんだと思います。
でもそんな事は大した問題ではありません。
「茜さす」のイントロが流れた瞬間…既に私は号泣していました。
こういう温かさ…優しさは大好きです。
もう一つは、昔受けた恩をお傍でお返ししたいと再び出会えるのを待ちわびる妖の物語です…
その妖も長い間待ち続けていました。
声を掛けられるチャンスは一度きり…だから絶対に失敗できません。
だから万全の準備をしたつもりでした。
でも直前に万全ではない事を知ってしまうんです。
その妖には万全にする事もできました。
自分の願いを優先させ、薄情になりきること…たったこれだけで長年の夢を叶える事ができるんです。
でも…その妖は薄情になんてなれませんでした。
少しの間でも自分の事を思い手伝ってくれた…その恩を感じない妖ではありません。
その結果が思いがけない方向に転がったのも事実でしたけれど…
人と妖に違いはたくさんあります…
違いがあるからこそ共感できる部分があり、そのギャップに感動するんだと思いました。
オープニングテーマは、ササノマリイさんの「タカラバコ」
エンディングテーマは、Aimerさんの「茜さす」
どちらも物凄い曲だと思います。でも軍配が上がるのはやっぱりエンディングです。
胸に染み入るイントロを耳にした時点で、ともうどっぷりとエンディングの世界に漬かっているような気がします。
1クール全11話の物語でした。
6期の放送も既に決まっていてもう何も言うことはありません。
続編の放送…楽しみにしています。