どらむろ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
少女の異能バトルロワイアル&悲劇をお手軽に!なコンセプトに限れば、非常に良い!
通称「まほいく」
「魔法少女まどか☆マギカ」を想起させる魔法少女たちが「仮面ライダー龍騎」の如く生き残りをかけて残酷なデスゲームをしていく。
鬱魔法少女&バトルロワイアル系です。
「魔法少女まどか☆マギカ」のフォーマットを受け継ぎつつ、露骨なデスゲーム展開に潔く特化した作風。
…明確に好みが割れる作品であり、自分の好みを認識したうえで視聴すべし。
よく「ありがち」という声を聞きますが、私の記憶が確かならば「ここまで露骨にこのコンセプト通した作品は空前絶後」です。
私的に…大好物♪この路線の最高峰だと思います。
…また本作は「最初から名作たる事を志向した作品ではない」
B級であり、(嗜好が合わないと)駄作なのも(原作者・アニメ制作者的に)織り込み済みかと。
そうした割り切り前提で、「まほいく」は面白い!
{netabare}『物語』
人助けが好きな、心優しく平凡な少女・姫河小雪が、ある日フシギなマスコットのファヴに魔法少女として選ばれ、その他の全16人もいる魔法少女にも出会うのだが…
やがて邪悪なマスコット・ファヴにより、凄惨なるデスゲームに巻き込まれていく…。
16人もいるのか!多過ぎる!と思いきや、1クールでほぼ全員の立ち位置が分かり易く、またテンポ良過ぎるくらいにアッサリ退場していきつつも、ちゃんと印象に残る。
大別してヒロイン・スノーホワイトたち善意組と、カラミティメアリら悪意のキャラあり。
善意組同士の交流は割と丁寧に描かれつつ、悪意組(と邪悪運営ファヴの悪意)の凶行で悲劇が加速する。
リップルとトップスピード、ハードゴアアリスのスノーホワイトへの想い辺りは、非常にハートフル…なだけに、悲劇もまたひとしお…。
…涙腺緩いもので、アリスちゃんの最期はお涙頂戴でした。
あと、魔法少女なので、可愛さや交流面での萌えもバッチリ。
キャラ同士の関係性や因果で、早期に退場したキャラの存在感が、生き残りに受け継がれる形が良かったです。
…ねむりんの善意がスイムスイムを狂わせたり、強キャラだったのに早期敗退したルーラの存在感がその後のスイムスイムの狂気に燻り続ける等。
その毒牙に掛かっていく善意組同士でも否が応にも悲劇的なドラマが生じたり、返り討ちに遭った親しい者の敵討ちに囚われるなどの因果応報の連鎖もノンストップ!
…ここら辺の作劇は、名作「バトルロワイアル」の系譜の中では、本作は白眉。
本作における魔法少女の固有異能と、元の人間(少女だけでなく少年や大人の女性も)の背負ってきた人生や業は連動しており、人間時代の過去回想を絡めたドラマも、短く浅いながらもちゃんと印象に残った。
魔法少女とは願望の具現だとすると、本作は恵まれない境遇の、肥大した願望同士の悲劇的な潰し合いと取れる為か、ドラマが分かり易く、かつ心に刺さる。
…善悪というより、業の連鎖は、それぞれ極端に強調されてはいても、人間的でもあり、意外な程共感し易かった。
中でもルーラは、回が進んでたまとの関係判明するなど、勧善懲悪では測れぬ魅力があったり。
異能バトルのほう、作風によってはラスボス級の実力者かと思われたルーラ(絶対支配のギアス使い)や、絶対不死身でどう攻略するんだ!?なハードゴアアリスらのチート強キャラが意外な盲点突かれて早期に敗れる、予断を許さない。
…「バジリスク甲賀忍法帖」みたいです。
メインヒロインが最後まで積極的に戦わないけれどちゃっかり生き残ったり、愛深き者を討たれた復讐心だったり、変身能力者が意外と活躍したり、結構バジリスクとの共通点多し。
総じて
「まどマギ」のフォーマットで「バトルロワイアル」やってみた。
「まどマギの高尚さではなく、バトロワのB級・低俗さをこそが持ち味」
な作品と見た。
B級低俗である事は、必ずしもエンタメ的な面白さを損なうモノではないし、また1クールで16人の業の深いドラマも(インスタントとはいえ)十分に印象的。
…雑な例えですが
最高級料亭の料理(まどマギ)に比べて、屋台のおでん(まほいく)が、劣っている…わけでは無いと思う。
原作の短編エピソードを巧みに構成し直した脚本も良かった。
交流や回想の緩と、1話で一気に脱落者出る急も含めて緩急が良い、全話に渡り抜群に面白かったです。
『作画』
キャラデサは大変可愛い&個性的で記憶し易い。
特筆すべきは戦闘シーン、ここは原作を大きく超えていたのでは。
『声優』
16人+ファヴ全員のハマリ役の度合が非常に高し。配役は完璧に近い。
特に良かった、ねむりんの花守ゆみりさん、天使姉妹の松田姉妹(姉妹役で姉妹共演多し、特撮ファンで仮面ライダー龍騎ファン)、クラムベリーの緒方恵美さんの妖艶な強キャラ感ハンパ無い。
水瀬いのりさんのシリアルキラー幼女も。
この他の方々も全員持ち味発揮でいう事なしです。
『音楽』
OP「叫べ!」は沼倉愛美さん、リップルでもあり。良主題歌。
劇中のBGMも、戦闘やシリアス以外の面で、ルーラ一味のシーンなどよかっだてす。
『キャラ』
1クールしかないにも関わらず、捨てキャラがいないのは驚異的。
可愛さや萌え面でのラピュセル(男の娘)など隙が無い。
強いて言えば、マジカロイドはやや落ちるか。でも新井美里ボイスのクセ者だったり、回想での適当な生き方など、魔法少女と連動していると見せてくれ、存在感は十分。
バジリスクの朧(おぼろ)、仮面ライダー龍騎の城戸真司、まどマギのまどかポジな主人公・スノーホワイトちゃん良い子で可愛い。
視聴者からは主人公としての主体性に疑問符付けられがちですが…
小雪ちゃんは、これでいいんです!そういうポジションですから。
アリスちゃんの想いを受け止められなかったシーンも、小雪ちゃんまだ中学生の女の子なので。
心優しい平凡な少女が、あの状況で、何ができようか…。
終盤、ファヴに必死に立ち向かった。そしてラストの決意、主人公ですとも!
(微笑ましい意味での)中二病気味な男の娘、ラピュセルも可愛かった。
萌えその2。
好きな娘を守りたい。その為の力もある。だったら…!その気持ちはわかる。
女子高生ニンジャ・リップルの不良ネコめいたカワイイさも良い。萌えその3。
ノーカラテ・ノーウィッチ!スリケンを投げれば百発百中だよ!
境遇故の人嫌い…からの、トップスピードとの交流で変わっていく。
主人公度はスノーホワイトより上だった。
快活なお姉さん、トップスピードの魅力も高い。「きんいろモザイク」の陽子っぽい(内山夕実さん)萌えその4。
作中随一のリア充、自分の幸せを感じられるからこそ、人に優しく出来るタイプ。
業の深い魔法少女たちの中にあっては、一服の清涼剤。
それだけに彼女の悲劇性は非常に残酷…。
本作最萌にして最も悲劇的な、ハードゴアアリスちゃん。
不幸な境遇で、ほんのささやかな優しさに触れた。
ああ…これはスノーホワイトの為にがんばる気持ちはよくわかるるなんて健気な!
ディスコミュニケーションの悲劇…
「スノーホワイト…あなたがいれば…魔法少女はいなくならないって…そう、いってあげたかった…」
アリスちゃん…。口下手故に不幸な境遇にありながらも、死の間際でありながらも、傷心のスノーホワイトを気遣う…天使か!
傲慢な仕切り屋・ルーラも非常に良いキャラであった。
仮面ライダー龍騎の香川先生ポジ。(スイムスイムとの関係と顛末)
性格は欠陥だらけだけど、実際有能だし、面倒見の良さは本物だった。
死後に評価が上がっていく…こういうキャラって大好きです。
本作随一のシリアルキラーにして恐るべきサイコパス幼女・スイムスイム可愛い!かわいいけど、コワイ!
バトルロワイアルの桐山和雄ポジか。
幼い実年齢と、成熟した見た目(巨乳スク水)そしてルーラをも超える冷徹な智謀のギャップが凄まじい。
「亜人2期」の佐藤さんと双璧をなす印象的な敵であった。しかもかわいい。
佐藤さんは戦闘楽しむタイプなので、クラムベリーの方に近い、スイムちゃんは一切容赦がない、ここまで効率重視で油断しない敵は珍しい。
…仮面ライダー龍騎の東條悟よろしく、敬愛する師の教えを曲解し狂気に走る。
「ルーラは私にとって一番あこがれのお姫様でした。だから犠牲になってもらわないと…私がルーラになる為に!」(龍騎ネタ)
か、仮面ライダータイガじゃないか!
真っ先に脱落したけれど、可愛さでは負けて無かった、ねむりん。
癒し系な優しさは本物、ルーラと並び、死後の存在感が大きい。
完全に善意の彼女の存在が、まさかの悲劇を生むとは、悪意に満ちた物語であるなぁ。
…番外の次回予告で「むねりんだよ~」も良かった。
実は本気出せば超強キャラだったり。
「超広範囲のデス13」相手が眠りさえすれば勝てる…心優しきねむりんはそんなことせずに眠っていった…
緒方恵美ボイスがセクシーなクラムベリーさん、美しく冷酷な敵であった。
バトロワ物に欠かせない戦闘狂だけど、エレガント。
音使いで強キャラというのも良い。
可愛さだけなら、たまも中々。優しい良い子だったに…残酷。
ミナエル&ユナエル姉妹も見ていて楽しかった。自己中心的で決して善人では無いが、こんなデスゲームで無ければ、ごく普通の女子大生だったろうに。
このふたりとたま含めて、ルーラ一味の日常系パートは楽しかったです。
…バジリスクで殺害スコアトップの甲賀忍者・如月左衛門と同じ系統の能力者たち。
姉妹は直接的なスコアは無かったけれど、間接的には、普通に戦ったら絶対勝てない相手を仕留めるアシストする大活躍。
シスターナナは善人…と思わせての狂気を感じさせる胡散臭さが魅力。
確かに善意は本物だけど、愛の形は歪んでいる。
だが。ヴェス・ウィンタープリズンもそれすら承知で愛する。
…これはかなり高度な百合だ!百合萌えまでもあるとは素晴らしい。
カラミティメアリさん、魔法少女というにはムリが…
ファヴはキュウベェではなく、ダンガンロンパのモノクマと同類な邪悪マスコット。
キュウベエは一応、宇宙全体の善意と信念があった、モノクマとファヴは悪意しかない。
こいつの存在が本作をB級バトロワたらしめている。
…「ぽん」口調や白々しいセリフがいちいち癇にさわる、名悪役であった。{/netabare}