どらむろ さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
スポコン寄りのアイドル物、「積み重ね」軽視してガワだけなぞってもダメ
中国のゲーム会社による、日本で制作したアイドルアニメです。番組後半実写の声優トークなので、実質15分枠。
近未来、バーチャル空間でライブする設定。
一途にアイドルを目指す友情・努力・勝利な王道は悪くないんですが…
バーチャルアイドル物だとマイナーですが「VENUS PROJECT(ヴィーナスプロジェクト)」の方が面白いです。
※評価はアニメ部分のみ、声優トークは見てませんが、評価には無関係です
{netabare}『物語』
「既に事務所に所属している新人アイドル」が「友情・努力でがんばる」タイプのアイドル物。
同時期だと路線としては、男子だけど「ドリフェス!」に一番近い。
内容的には、日本の80年代90年代のスポコン物のお約束(怪我に泣かされたり、ド根性や、友情パワー重視だったり)を感じさせる。
それ自体は古き良き王道で嫌いではないのですが…
10分強程度の尺で、視聴開始時点で既に完成されたキャラ配置からの、テンプレ展開の数々。
視聴者がキャラや世界観に馴染む前に、主にメインとなる林薇薇(リン・ヴィヴィ)がひたすらがんばるぞー!
……うーむ?
この手の作風の肝は「個々のエピソードの積み重ねを経てのキャラへの愛着」だと思うので、本作のような作りだと視聴者置いてけぼりです。
まるで「他人が数十時間プレイ済のRPGを、途中からプレイ動画で見せられている」感じ?
…「ドリフェス!」だって、1クールながら30分枠で主要5人組のドラマや関係性を繊細に描けていた。
本作は半分の尺で林薇薇一人しか描けていない。
残りキャラとの関係は友情物のテンプレな印象。
学園長のダメ出しに足掻き続ける展開は王道スポコンで良かったと思いきや、肝心の学園長の意図が見えない為、結局無駄なイジワルされてた印象が…。
前半までは(テンプレながらかろうじて)王道で見られるのですが、後半、盤外の悪意に努力が踏み躙られそうになる展開…
前半までの浅い積み重ねでは、これを打ち破るカタルシスが足りず。
後半で更に評価落ちました。ドリフェスみたいに、2つのライバルチーム同士で正々堂々の対決にすれば、まだ何とか形になっていたのでは。
…尺的にほぼ同等のVENUS PROJECT(30分だが全6話)は、個々の想い秘めたライバル対決で盛り上げた。
また本作特有のテーマとして「SNSなどのネットでの虚構よりも、大事なことがある」は悪くない視点。
ただ、そんな事は(少なくとも純真なアイドルならば)自明であり、今更アイドル達が気付くのは遅いとも思う。
虚構に頼る場合、敵役にやらせて、主人公が打ち破るのが(日本作品の)王道です。
やはり同時期の「SHOW BY ROCK!!2期」がまさにそれで盛り上がった。
総じて尺が足りないのに、積み重ねが重要となるジャンル選択と噛み合っていない。
万里の長城も一日にしてならず。
安易にテンプレをなぞらず、ちゃんと積み上げないとダメです。
『作画』
キャラデザもCGライブシーンも中々。作画的には全く問題ないです。
15分枠のアイドルアニメ史上では、かなり良い方。
『声優』
新人中心。拙さはありますが、まずまず頑張っていたのでは。
豊田萌絵さんは良かった。
水樹奈々さんの迫力が際立ちました。
『音楽』
「ま~いにちがオッケー~ららら♪毎日がオッケー~ららら♪」な感じのOPは分かり易いアイドルソングで結構好み。
ショート枠の日常系ならば十分良かったかも。
『キャラ』
林薇薇(リン・ヴィヴィ)は王道的なアイドル主人公で中々可愛い。
羅雨照(ラ・ユチョウ)が(名前的に)印象に残るくらい。
その他決して悪くは無い子たちで十分可愛いんですが、殆ど印象に残らんです。
男子部主席の森拓海が何気に存在感あった…ような、なかったような?
水樹奈々さんボイスの理事長は何考えてるのか分からない。{/netabare}