アネット・イクヤーク さんの感想・評価
3.3
物語 : 1.5
作画 : 2.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
素材は非常に良かっただけに惜しまれる。
90年代のロボットアニメを代表するタイトルということで、名前くらいは聞いたことがある、という人も多いでしょうか。ラブコメ+ロボットものです。
キャラクターが非常に魅力的なのが印象的です。主人公のテンカワ・アキトは、この手のラブコメにありがちな、優柔不断な性格だけど。天真爛漫で天然でアキト一直線のミスマル・ユリカ、ミステリアスでシニカルな「少女」ホシノ・ルリ、といった主要キャラはもちろん、男女問わずサブキャラクターまで濃い面子が揃っています。
そうしたキャラクターたちを演じる声優陣がまた、素晴らしいのですよ。うえだゆうじ、桑島法子、高野直子、飛田展男、小野健一、真殿光昭、横山智佐、といった面々が、キャラクターの魅力を存分に引き立てています。
特に、ユリカ役の桑島さんが本当に凄いのです。
戦争中かつ艦長という重要なポストにあるにもかかわらず、口を開けばアキトアキトという、ともすればどうしようもないキャラクターになってしまいそうなユリカなのですが、桑島さんの好演によって、生き生きとした無邪気で可愛いヒロインになっています。
当時の桑島さんはデビュー2年目で、主要キャラとしてはこれが初。とても信じられません。
また、OP曲の「YOU GET TO BURNING」が滅茶苦茶カッコイイんです。私がこれまで聴いてきたアニメOPの中で、トップクラスに好きです。
しかし、残念ながらストーリーがイマイチでした。
まず、一応戦争中なのに、びっくりするほど緊張感がない。木星の侵攻を受けて、地球圏が危機に瀕している、という設定の筈なのに……。
物語も登場人物たちも、戦争そっちのけで、艦内の惚れた腫れたに重きを置いている。別にシリアスに戦争するのが偉いというわけではないけれど、それにしたって真面目にやるべきところはもっと真面目やって欲しかった。
そうしたことと関連するのかもしれませんが、ロボットアニメなのに、戦闘シーンに見るべきところが乏しいようにも思いました。作画とかの話ではなくて、印象に残る戦いの話が殆どありません。
また、全体的に前後の繋がりが弱く、登場人物の行動や心理が支離滅裂に感じられることもしばしば。加えて、衝撃の事実が明かされる!といった類いの展開でも、それまでの積み上げが少ないせいで、唐突に見えてしまうことが多かったです。
そうした要素をナデシコの「味」と捉えて脇に置き、最後まで見続けても、最終回ではきちんと終われず、様々な謎の解明をほとんど放棄して、ブン投げるような幕引きとなってしまうので、とてもガッカリさせられます。
一方で、ゲスト的に参加していた脚本家の担当回には「当たり」回が多く、いかに「ナデシコ」の素材は良かったか、ということでしょう。
それだけに、非常に勿体ないアニメだったと思います。せめて、最後をもう少しちゃんと締めてくれれば、もうちょっと印象も変わったのですが……。