セメント さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
あなた宛にシゴフミが届いています
アニメと小説の二つのメディアで展開されていった作品ですね、原案の湯澤友楼は関わったスタッフの頭文字を捩っています。
なので、アニメと小説では展開が大きく異なっていてまず主人公が違います、どちらも名前は"ふみか"なんですけど。
実はアニメ版の10話で出てきた文伽こそが小説版の主人公の幼少期であって、その繋がりはリニアです。
<物語>
死者からの手紙を届けるということで、御涙頂戴の一辺倒ではなく、陰鬱な意図も見え隠れするのが本作の最もたる要因でしょう。
顕著なのが過激な内容という事で放送休止になった6話ですか、いじめを苦に自殺する少年の回ですね。
"クラスに一人は必要なんだよ、この窮屈な学生生活のストレスを引き受けてくれる人間が"って台詞は未だに印象に残ってますね。
その他、自殺した生徒の親が学校に立て籠もる3話や父親による虐待がありありと描かれる8話なども一部修正された内容で放送されてましたね。
この頃は少年犯罪が異様に取沙汰される社会情勢の中にあって、本作も「スクールデイズ」や「ひぐらしのなく頃に」などと同様に、その煽りを被ったものと受け止めています。
少年犯罪の増加や凶悪化が叫ばれていた時代ですが、統計資料を見てみると根も葉もない偏向報道が大半だったりするんですけど。
閑話休題、畢竟この物語で主題となるのはフミカの生と死の所在であって、二重人格である文歌とフミカがそれぞれ独立して生き続けることにあるんでしょう。
文歌の手によって殺されることで決別しようと考えたフミカですが、それよりはハッピーエンドな結末なのかなと思います。
<作画>
なかなかの意欲作だったと思いますよ、制作はJ.C.STAFF。
登場人物の目線などの些細な仕草が旨く演出に落とし込まれていて、情景描写には独特の感覚が入り乱れます。
基本的に静かなアニメですが、制作陣の意図を探そうとして見ると楽しいと思います。
<声優>
フミカの声優に植田佳奈さん、フミカの杖でなんと喋るカナカの声優に松岡由貴さんですね。
<音楽>
OPはALI PROJECT、EDはSnow*ですね、どちらも鮮烈で、特にEDの「Chain」は滅茶苦茶良い曲です。
<キャラ>
カナカは杖ですが、萌えキャラとして定評を得てますね。
主人公のアイテムが喋るというと、「ゼロ魔」のデルフリンガーや「なのは」のインテリジェントデバイスがパッと思い付きます。
あまり目新しさはないですが、9話にて海水浴をしたのには驚きました。
少し地味なのかもしれませんが、胸の救われない結末の多い異質な作品でした。
暗い気分になりたい方、なんて余り居ないと思うので、暗い気分にさせたい奴が周りに居る方にお勧めです!