「地獄少女 三鼎[みつがなえ](TVアニメ動画)」

総合得点
65.1
感想・評価
322
棚に入れた
1913
ランキング
3489
★★★★☆ 3.7 (322)
物語
3.6
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.8

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ネタバレ

セメント さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

晴らせぬ怨み、晴らします。

心霊写真って高性能化・高画質化したカメラが幅を利かせる現在では滅法少なくなった印象です。
それでもデジカメに対応したりスマホに対応したりと、心霊現象も手を変え品を変え、技術の進歩に遅れを取らんとしているのが微笑ましいです。
本作の地獄通信も元は絵馬を伝達手段としていたのが、パソコンや携帯電話を媒介とするようになっていった変遷を辿ってみると面白いのかもしれませんね。


<物語>
それにしても2期の最終話で閻魔あいは地獄少女の引退を表明していますから、何故また始めているのか疑問で仕方がなかったんですよね。
どうやら地獄少女の後継者を求めていたらしいのですが、同じく2期の最終話にてあい以外の地獄少女の存在を示唆する描写があって、あいが探さなくても勝手に人面蜘蛛が見つけ出すようにも思えます。
地獄少女の後釜というより、閻魔あいの後釜を見つけるというものであれば、納得も出来ます。
ただ、あいと比べて、ゆずきが抱く両親を奪った賽河原町への怨みは規模が小さいのが後釜として弱い部分でもあり、結果的に地獄少女になれなかった要因でもあるのでしょう。
私の場合はてっきりゆずきを後釜として宛がった結果、町から存在が抹消されたのかと思ってたので、怨念の化身であったと後々明かされた時に、意外性は感じられました。
ただ、伏線はしっかりと編まれていて、例えば両親の話になった時、気配が微塵も感じられないのに周りも違和感を覚えていないんですよね、OPの熊の縫いぐるみも断絶した記憶を表していたように思えます。
また、既に諦めの境地に達してしまったつぐみが、"地獄通信という復讐の機会が存在することが、憎しみの渦巻く現世で生きる人々の救いになっている"という旨の発言をしていましたが、なるほどそういう考え方があるのかと唸ったものです。
全78話通して見てみて、穢れ切った世界を変革できないもどかしさを感じていた訳ですが、寧ろ理想的な世界を体現していたのでは?とも思うようになりました。

<作画>
大森貴弘監督から、わたなべひろし監督に変わってますね。
ちなみに1期にてエスパー☆ワタナベとして登場したわたなべ監督は、藁人形の紐を解いてしまっているので、わたなべとひろしの間に地獄紋章である@が表示されてます。
スタッフの遊び心が感じられて好印象です。

<声優>
あい役の能登さんは言わずもがな、ゆずき役の佐藤聡美さんは実質デビュー作となっていますが、柔らかく愛らしい声をお持ちで、清廉潔白なゆずきの役柄に合っていたかと思います。
あと本作ではナレーションをYOUさんが担当してますね、何故かは疑問ですが雰囲気は出ていました。

<音楽>
OPの北出菜奈さんの歌う「月華-tsukihana-」はシリーズの中で一番好きです。
北出さんの歌声も鬼気迫るものがありますし、作品の陰鬱さを見事に表しているように思えます。
EDは毎度お馴染みの能登さんが歌っています、今回は最終話のサブタイがEDの曲名じゃないんですよね。
「かりぬい」も「あいぞめ」も最終話のサブタイなので拍子抜けしたというか、ある意味で趣深さを感じる訳ですが・・・。

<キャラ>
異常に百合百合しいシーンが多かったように思えますが!?
いいぞぉ!もっとやれ!


全体的に鑑みると、復讐の是非を描いた1期、復讐の贖罪を描いた2期に比べて芯が弱い気もしますが、素直に閻魔あいの永久就職を祝うべきなのかもしれません。
長編ではありますが、変にパターン化することなく結末の意外性も十分あるので、見ていて驚かされるばかりでした。
まさに"脚本家の本気を見た"って奴ですね。

投稿 : 2016/12/14
閲覧 : 304
サンキュー:

5

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