burn さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
完成度の高いストーリー・テーマ性。そして極め切った陰鬱さ
評価すべきところはストーリーの完成度の高さ。そして「人間とは何か」を訴えるテーマ性。
DBP(デビルビーストプログレス)という、人が異形の怪物に変化してしまう現象が作中の設定の肝だが、伝染性のあるそれが現実にあったら社会情勢はどうなるか、そのシュミレーションとしてもよく考えられている。
人間社会が自分たちの能力を超える知的生物と出会ったらどうなるか、しかもそいつらは人間の中から現れる。
そういった意味でも、本作は漫画版「デビルマン」を再解釈した作品と言えるかも(女主人公に変わってますが)。原作「デビルマンレディー」は全体を見れば漫画版「デビルマン」の続編、外伝といった位置付ですので、主人公の性格も含めてそのあたりが決定的に違います。
しかし、とにかく最初から最後まで一貫して暗い、陰鬱な世界観。ここまでこだわり切れていると逆に見事なのですが、くわえて主人公・ジュンは内向的な性格で、鬱々としている部分があるから、視聴に耐えられない人は多いかも。
アニメにテーマ性を求める人ならば見る価値はある……かな。永井豪好き、鬱アニメをみて人生を考えたい人、ストーリー作りの高度な手法を見たい人、にはお勧めできる(かも知れません)。
{netabare}ただ、ラストは希望のあるエンディングです。そこが漫画版「デビルマン」と違っているところ。でもそれは人類にとってはという意味。人類を守ったのはジュンですが、その功労が社会的に称えられるわけでもない。身体的にも両腕を、愛する人をも失った{/netabare}彼女が幸せだったかどうかは大いに疑問です。
たしかに、ここまで悲惨な目にあった女主人公は他にないでしょうね。