hamasan さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ただの刑事アニメと化した作品
攻殻機動隊TVシリーズの三期目。
二期のときからその傾向はあったのだが、TVシリーズの攻殻機動隊はシーズンを重ねるにつれてテーマがサイバーパンクから現代社会へと近づいていき、今作ではついに高齢化を題材にした「貴腐老人」を中心に据えてしまった。
たしかに攻殻機動隊の難点である分かりづらさはどんどん解消されてはいるものの、多くのファンの観たい作品は「20年後の日本社会」ではなく「電脳化の進んだ近未来」なのであって、2030年代という時代設定に手を加えてみようというのはナンセンスにも程があると思う。
テーマがそういった風だから公安9課もまたやっていることはサイボーグが怪事件を追うだけのロボコップであり、アクションシーンもまたシリーズ最弱の雑魚兵士を蹴散らすだけの見ごたえのないシーンが続く。
作品としてのアイディアにもかなり乏しく、ラストシーンに象徴されるように、いまさら劇場版との差異を意識したような対比イメージに執心していて、すべてがシリーズのどこかで観たことのあるものばかり。
観始めたころはロボットみたいだと思っていたキャラクターもあまりに掘り下げてしまったせいかかなり腑抜けた性格になってしまっている。とくに草薙素子がその典型で、カッコ良かった頃の少佐はどこへ行ったのか、人形遣いと出会わなかった世界だとしてもこんなに薄弱な行動原理で失踪したり登場したりするとは思わなかった。(そもそも人形遣い出会っていないのだから失踪する理由がないのだ。久世は少佐と邂逅したといっても、わざわざ殺されたのだから)
TVシリーズでSFとして優れていたのは結局笑い男だけで、たとえこれ以上神山版を継続しても攻殻機動隊として得るものはもうなにも残っていない。