ヤマザキ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「すごい」のはわかるんだけど、「すごい○○○」の○○○の部分に何を入れていいのかわからない
今年は映画アニメが本当に豊作の年で(それに比べてテレビの方ときたら・・・)、「君の名は。」「聲の形」と来て、それでこの作品「この世界の片隅に」ですよ!そこの奥さん!(←?)。もう、財布からお金が出ていって仕方ありませんがな。
・・・というわけで行ってきました。休日出勤の代休を使いまして、平日の映画館に一人(映画を観るときはたいていこのパターン)。シネコンのあまり大きくない部屋でしたが、半分弱くらいの入りだったです。平日の昼間にしては入っていたんじゃないですかねぇ。
それで感想なんですけどね・・・。いや、困ったな。全然まとまんないんですよ、頭の中でずっともやもやしている。まとまんないんで、いろんな人の感想を読んでみたら、いやもう、皆さん絶賛なんですね。そうなると、頭の中で未だにもやもやしている自分、感想がひねり出せない自分が、なんかおかしいような気持ちになってくるんですけどね・・・。
・・・勇気を出して感想書きます。まず最初に結論から!「君の名は。」よりよかったけど、「聲の形」ほどではなかった! ハンカチも持っていったけれど、最後まで泣かなかった!
・・・ああ、言っちゃった・・・。
なんというか、わかりづらいんですよ。とにかく情報量が多すぎて、頭の中で処理が追いつかないという感じなのかなぁ。ほら、よくあるこうした作品(アニメに限らず、ドラマでもマンガでも)って、「ああ、ここが感動させたい場所なんだな」とか、わかりやすいじゃないですか、いい意味で「あざとい」って言うか。ところが、「この世界の片隅に」は、戦争中なのに笑うところでは笑っているし、不幸なことがあった後でもわずかでもほのぼのとしているところはあるし。きっと現実でもそういうもんなんだろうとは思うんですよ。自分の経験でも、親が死んだ日に、笑顔をまったく浮かべなかったかというと、そんなこともないわけですしね。だから、これが戦時中のリアルなんだろうとは思います。今までの戦時中を扱ったドラマやアニメ、マンガがその深刻さを際立たせるためにやたらと深刻な顔をしていたのとはたしかに一線を画しているんですが、でも、わかりやすいかわかりづらいかっていう観点からすると、正直わかりづらい。だからね、泣いていいのか、笑っていいのか、もう感情がごちゃごちゃになってしまって、ついて行けないんですよね。「すごい」のはわかるんだけど、「すごい○○○」の○○○の部分に何を入れていいのかわからないんですよね・・・。
それからもう一つ。戦時中の呉や広島の様子の描写がものすごいとか、空襲の様子や高射砲の煙がリアルでよく再現した、などと言う人もいるんだけど、その時代の呉や広島も、高射砲を撃ったところも、オレ知らないしなぁ。なんか、その観点で褒めている人って、爺さん婆さんばかりじゃないようなんだけど、本当にそう思っているのかなぁ???
・・・と、勇気を出して疑問を呈することから先に入ってしまいましたが、悪い作品ではないことは保証します。絵柄はほのぼのと明るいのに書き込むところはちゃんと書き込んでいるし、声優初体験のハズの能年玲奈改め「のん」の演技も見事。すずさんも観ているとほっとするような究極の癒やし系だし。主題歌を歌っているコトリンゴの声や唄い方はあまり好きではありませんが、観て損することはない作品であることは間違いありません。そこはしっかり保証したいです。
・・・このアタマのもやもやはどうやったら取れるんだろう。もう一度観に行くか?・・・いやいや、そこまで感動した作品じゃないしなぁ。だったらアニメじゃないけど「海賊とよばれた男」を観に行きたいなぁ、いや、「聲の形」3回目か?・・・などと逡巡するここ数日であります。
いやいや、評価の高い作品を「わかりませんでした」って言うのは、勇気が要るねぇ。