セメント さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
人を呪わば穴二つ
強い怨みを抱いて午前0時00分にアクセスすると閲覧できる"地獄通信"。
オタクの血が騒いで止まないこの設定、私自身アクセスしようと試みたことも一度や二度ではございません。
<物語>
記者の一ちゃんとその娘のつぐみが、地獄少女を巡る一連の事件を通して、復讐に対する是非を問うていく。
一ちゃん一家が登場するのは8話からですが、彼らの存在が骨組みとなって、一ホラーアニメに留まらない芯のある物語になっていたと思いますね。
めちゃくちゃ印象深いのが、誰からも慕われる看護婦が得体の知れない男に罪もないのに地獄流しにされた回、22話ですか。
14話でも特に悪い行いをしていない人物が思い込みで地獄に流されていましたけど、地獄通信のシステムの隙を突く時ほど閻魔あいは一切手加減をしないですよね。
逆にIT企業の社長の依頼は断っていたり、まぁ呼び出すのは難しくても呼び出してからはとんとん拍子ということでしょうか。
閑話休題、畢竟この物語は復讐の虚しさを説くという単純なものではなく、復讐による殺人が肯定される訳ではないが、かと言って全てが否定できる訳でもない、曖昧にしたまま視聴者に委ねているように思えます。
看護婦や町長のように理不尽な復讐もある一方で、女優の養女の話や不倫現場を見た母の話のように然るべき復讐も存在するのです。
そんな復讐が安易に達成できる世界で、罪を背負いながらも生きることを選択した一ちゃんはある種の救いだったのかもしれません。
一先ずはあいの復讐の炎も鎮火して、非常に綺麗に纏まっていたように感じます。
<作画>
題材が題材だけに、アニメの企画が成立するのに大分時間が掛かったみたいですね。
まぁいざ蓋を開けば比類なきホラーサスペンスが好評となり、第3期まで製作される一大巨編へと成長を遂げていくわけですが。
ちなみに原案のわたなべひろしさんは20話にエスパー☆ワタナベとして登場してます、作中で藁人形の紐を解いてしまったので地獄送りが決定していたり(笑)
<声優>
閻魔あい役の能登麻美子さんは、まさにこの役を演じるために生まれてきたのかと思えるほど合ってます。
元からこの企画は能登さんあり気な感じがしますね。
その他割とゲストの方の声優が豪華で、作品的に発狂や罵声はざらなので聞いてて楽しいと思いますよ。
DVDやCDを買うと初回封入特典として"憂鬱カルタ"というのが付いてくるんですよね。
全部で4種類だったかな、名言多いので商品化すればいいのに。
<音楽>
まず能登さんの歌うEDですが、どう聞いても呪いの歌です、本当にありがとうございました。
OPの「逆さまの蝶」、作品に合っているかと問われると微妙ですが、曲としてはお洒落で好きです。
どうやらこの曲は高校時代の友達を想って作詞したみたいですね、まぁでもそこまで作品の雰囲気損なわれてないので良いんじゃないでしょうか。
<キャラ>
閻魔あい、黒髪赤眼という非常にニッチな層に受けそうなキャラですよね。
その他出てくる女性キャラは皆一様に妙に艶めかしかった印象です。
三藁も好きですよ、一ちゃんとつぐみは散々語ったので割愛です。
人形とかエスパーとか人知を超えた存在も出て来て、突っ込むと切りが無いですね。
「必殺仕事人」と「笑ぅせぇるすまん」を足して二で割ったような感じですか。
そこそこ陰鬱な人間模様が展開されるんですけど、案外すらすらと見れちゃうんですよね、続きが気になって仕方がなかったです。