oxPGx85958 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
志が感じられる実験的な問題作
『響け!ユーフォニアム』で知った黒沢ともよの出演作ということで、ほとんど予備知識なしに見始めたところ、第1話がとても良くできていたのでスタッフを確認し、私が気に入っている『この素晴らしい世界に祝福を!』と同じ上江洲誠という人がシリーズ構成をやっていることを知り、ついでにこの人が『アカメが斬る!』や『これはゾンビですか?』にも関わっていることにいまさらながら気付いて、「ああ、なるほど」と思った次第です。
本サイトの他ユーザーのコメントや、ネット上のテキストを見ると、本作が「意外な展開」をするという感想が圧倒的に多いわけですが、私もこの意外性には揺すぶられました。この意外性の骨格は、『アカメが斬る!』の原案者でもあるタカヒロという人から来ているとのこと。マンガの原作という制約があった『アカメが斬る!』とは違って、アニメ・オリジナルの物語を作るにあたって、1クール全体を使って視聴者の感情を揺さぶろうという構成があったのでしょう。ネット上の反応を見ると、視聴者たちはこのシリーズに良いように引きずり回されています。
こういう実験を可能にしている日本の深夜アニメには、黄金期の日本映画と似たにおいを感じます。細かいところで不満がないわけではなかったが、物語の面では、私は本作を100%擁護します。
でも本作でほんとうに良かったのは、それ以外の面でとてもていねいに作られていたことでした。異世界の描写、バトルの描写、作画、声優の演技、音楽などのいろいろな要素が一級品だったと思います。物語のメタ的な仕掛けを活かすためには、これらの要素がしっかりしていなくてはならない、という姿勢が伝わってきました。『まどマギ』と比較する感想を多く見ますが、あれよりはずっと志の高い作品だと思います。
最終話については…
{netabare}
あれがハッピー・エンディングであるという見方が多いようですが、結城友奈は明らかに不調を来していて、他の3人はそれに気づけない、という状況を見せているわけです。視聴者をこのようにほっぽり出すのはいかがなものか、という意見もわからないではないですが、上にも書いたように、日本の深夜アニメだからこそこういう実験が可能になっている、というポジティブな見方を私はしました。たとえばアメリカのTVドラマだったら、こんな企画はまず通らない。もっとわかりやすく「不吉さ」を演出するでしょう。
{/netabare}