狗が身 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
意外とファンタジーなダークアクション。
契約者と呼ばれる能力者が暗躍する架空の日本を舞台にした、SFアクション。
作中に登場する『契約者』と呼ばれる者たちは、独特の合理的な思考回路を持ち、感情の起伏に乏しい傾向にある。なので自然と彼らを描いたドラマはどこかフィルムノワールのような雰囲気が漂い、ハードボイルド的要素も垣間見える。
この作劇中の空気が実に素晴らしい。しっとりとした雰囲気としんみりしたエピソード。演じる役者陣も実力者ぞろいで、作品の世界観に気持ち良く酔いしれます。
エピソードが基本的に前後編の二話完結なのも嬉しい構成かもね。色んな人物の色んなエピソードを描くことで、より世界観を感じ取れるから。
ただ残念なのが、終盤のストーリーが詰め込みすぎで消化不良な感じに終わってしまったこと。
世界に起こった異変の核心に迫った大規模なストーリーは、この作品には不要だった気がする。おそらく、それまで本作を楽しんでいた人は《なぜ契約者が生まれたのか、南米でなにが起きたのか》という疑問は視聴当初こそ気になっていたけど、途中からは重要じゃなくなってたんじゃないかな?
極端な話、契約者が生まれた原因とか、南米のゲート消失だとか、そういうのも別に描かれず終いでも良かった。
そこに本作の魅力があったワケじゃないのだし、中途半端に描くだけ描いてアッサリ終わってしまうぐらいなら、最初からやらなくてよかったんじゃないかな~。
組織の目的だった《契約者の抹殺》ってのも、個人的にしっくりこなかった。
あれだけ体よく利用してるのに、あそこまでして契約者を皆殺しにしようって思うものかな? それだけの理由があるようには思えなかったんだよね。
どうせ描くなら、その辺りもがっつり描いてくれればね…。
でも、はじめの方に書いたように、それぞれの契約者にまつわるエピソードはすごく良かったし、最後の方に目を瞑れば、とても良い作品だと思う。