じゅん さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
変化をゆるした世界
『たまこまーけっと』から続けて視聴したが、まさか号泣させられるとは思わなかった…。
ひょっとしたら『たまこまーけっと』がめちゃくちゃ売れて大ヒットしてたらこの映画版はこの形で発表されなかったのでは?と思ったぐらい、ビックリした。
TV版も大好きだが、これは死んで天国まで持っていきたいくらいの作品になった。
青春・純愛ものとしてこれ以上ない傑作だ。
これはTVアニメ『たまこまーけっと』の続編にして全くの別作品と言えるので、タイトルを変えたのも納得(デラもほとんど出てこないし)。
あんなにもほのぼのふわふわと流れていた時間がここにはなく、焦燥感にも似たちくちくと切ない時間が流れていく。
高校3年生になり、学園ものとしては避けて通れない「卒業と進路」に食い込んでいく事で、サザエさん世界のように変化を許さなかった世界から脱却している。
そもそも舞台である商店街が円環の象徴・閉ざされた世界であり、そこから東京へ出ていこうとするもち蔵が、まさにたまこの閉ざされた世界を開いていく。
たまこともち蔵の甘酸っぱい恋が物語の主軸ではあるが、登場人物のそれぞれが新しい一歩に向かって進み始めるところも良かった。
そんな中でみどりちゃんは今後どうしていくのだろうか…もしも円盤なりで観返す環境にある方は是非みどりちゃんを追って見直してみて欲しい。
彼女の感情の揺れ動きは観返す価値のあるものだと思う。
とても深くてとても切ない。
『聲の形』も素晴らしい仕上がりだったが、こっちが山田監督の最高傑作でまだ揺るがない気がしている。