明日は明日の風 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
超王道の青春もの、捻りがない分、素直に見ることができる作品
きらら系なので、ふるゆわなほのぼの青春日常ものかと思ったら、意外や意外、青春ストーリーものでした。吉田玲子さんが構成しているので、女の子の群像劇はしっかりまとまっていました。これほど捻りがない青春ストーリーも珍しい。だからでしょうか、埋没してしまっている感じがしてしまいます。
{netabare}主人公の関谷なるは、引っ込み思案で決して人前に出ることはしない子だった。目立たなく過ごしていければいいと思いつつも、メルヘン好きからか、誰かが自分を別世界に連れていってくれることを胸に秘めていた。そんなときに出会った金髪の女の子、その子はまるで別世界から来たような不思議な子だったが、翌日対面することになる。
その子はアメリカからやって来た留学生のハナNフォンテーンスタンド(以下、ハナと略)。日本文化が大好き。中でもよさこいは憧れで、仲間を集めて踊るのが大きな目標だった。自分ペースで仲間を募るハナにかき回されるなる。やがてハナと仲良くなり、よさこいにも興味を持つようになる。そして自らの殻を破って踊ることを決意し、練習に打ち込む。二人はよさこい部を作り活動していくが、顧問の問題や仲間集めに苦労する。
なると同級生の笹目ヤヤ。小学生の頃からなると仲が良く、ネクラ系ななるを引っ張ってくれる存在だが、どうみてもツンデレ。なるとは対照的に社交的で、バンドに打ち込んでいる。よさこい部に名前を貸しただけのはずが、バンドが解散してしまい、自分を見失いそうになるところをよさこい部に救われ、踊ることを決心する。
なると幼馴染みでひとつ上の西御門多美。名門良家の超お嬢様で大和撫子を絵に描いたような美人系(ただしファザコン)。生徒会の副会長でもある多美はよさこい部に協力してくれるが、お嬢様にも悩みがあり、それを変えたい思いから最後はよさこい部に入る。
常盤真智。多美とは幼い頃から仲が良く、成績優秀で実直なバリバリ系の生徒会長(実は甘いものやアイドル好きの普通の女の子、だが、強烈なシスコン)。融通が利かないため、しばしばよさこい部の邪魔者になるが、それは正義感から来るもの。しかし、裏には顧問であった沙里への思いもあった。姉の本当のことを知り、誤解が溶けたあとはよさこい部に入る。
5人のよさこい部は「花彩よさこい祭」で踊ることを目標に練習を重ねたが、ハナが突然の帰国。出番になった瞬間、ハナが現れて…{/netabare}こんな内容です。友人、仲間、親、兄弟、自分の性格、それぞれが抱える青春の悩みを越えていきながら最後はちょっぴり涙しつつ、綺麗にまとめています。見事なほど王道の青春ものでした。それと、主役5人の個性が本当にうまく描かれていたように思います。
正直、1話で断念しそうになりました。ハナがウザく、なるがあまりにもうじうじしすぎてイライラするくらいです。話が進むにつれ引き込まれて行き、最後は見て損はないと思えるくらいになりました。なるが主人公で、ヤヤや多美と小さい頃から仲がよかったという設定が大事だったように思います。その点は主人公補正が効きすぎではありますが、なるが成長していくための大きな礎ですし、ハナが最後のトリガーとなったのだろうと思います。見ようによってはなるを巡るハナ、ヤヤ、多美の百合百合っぽい四角関係に見えなくもないです。百合百合しいのが苦手な人でも大丈夫な感じもしますが…
元気印のハナはウザいけど、本当に素直でいい子に描かれていました。多美やヤヤ、真智もいい子です。みんないい子すぎて、捻りがないのが大きな欠点にもなったように思います。が、この作品はこれで良いのだろうと思います。それと、設定が中学生なんですけど、キャラデザも設定も高校でもよかったように思います。
で、見終わったあと想像してしまいました。これがPAだったらもっと青春の群像劇になり、海や景色が美しく描かれたのかな。これが京アニだったら躍りは一曲まるごと動かしまくったのだろうな…と。
女の子たちの王道青春ストーリーです。見て損は感じない、しっかりした話ですので、青春もの大好きな人におすすめです。