もぐりん。 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「生きるってだけで涙がぼろぼろあふれてくる素敵な作品です」
【タイトルは舞台挨拶ですず役ののんさんが語った言葉だそうです】
漫画原作 監督は「BLACK LAGOON」や「マイマイ新子と千年の魔法」
などを手がけた片渕須直さん、
この作品の制作費用はクラウドファンディングによって集められたようです
当初は2000万円が目標だったようですが最終的には3600万以上が集まった
そう・・・原作人気もさることながらファンに支えられた作品ですね!!
不器用ながら絵を描くことが好きな素朴な少女、浦野すずの大正から
昭和の終戦直後と言う激動の半生を「戦争と広島」をテーマに
描く劇場公開アニメ
戦時中を描いているので戦争の描写もかなりありました、その
どれもがリアルで爆撃機による空爆、焼夷弾、炸裂した際に
飛散する破片の軌跡に破壊力の描写は迫力があり恐ろしいもの
でした、自宅近くに防空壕を掘ったり、空襲警報が発令された
時の人々の動きなどなど、戦争の語り部のような感じです。
戦争の酷さを描いた傑作に「蛍の墓」もありますがコレとは
かなり毛色が違っていて直接比べることは出来ません、
蛍の墓のラストは救いがありませんが、この世界の片隅での
ラストは生き残った人々が寄り添いながら、またいつもの日常の
中で生きられることの幸せみたいなものを感じられる作品ですw
ストーリーや時折見せる笑いの質は基本大人向きだと思います
戦前、戦中、戦後の日常を背景にいたるまで非常に忠実に
再現されていて、絵柄の柔らかさや、キャラクターの愛らしさ
も手伝って若い人にこそ是非観て頂きたい作品となっています、
お婆ちゃんやお爺ちゃんの若かりし頃のラブストーリーww
夫婦愛や家族愛もこの作品の大切なテーマになってますので
喜怒哀楽、見所も多いです!!
戦争の非情や悲しみも過剰な脚色や演出も無くそのままの姿で
描かれていて、それでもその時代に強く生きる人々の恋愛や
暮らしを等身大で見せてくれます、
このジャンルにしては希に観る傑作!是非一度ご覧下さいませw
{netabare}
さて、もろ手を挙げて賞賛したいところではありますが、
気になる点もあります、1番引っかかるのは主人公すずと
後に夫となる周作が幼少期に偶然出会うシーンです・・
ここでは籠を背負った毛むくじゃらの大男に周作と共に
さらわれそうになるんですが、その大男の人外のような
容姿や、すずが望遠鏡越しに見せた夜空で眠らせてその隙に
逃げるシーンとかそこだけがファンタジーなのです
夢の中ではなくてリアルとして描かれていたようなので違和感が
ありました・・・ まぁ些細なことなんですがネw
お話の終盤ではこのシーンに繋がる展開でほっこり心温まる
ラストで終わっているんですがこの大男については謎のままです
良いことも悪いことも全ては夢のような現実ってことでしょうか。
【余談】
ボクは幼少期よりお婆ちゃんに育てられたので8月になると
毎年戦争の話を聞かされてきました、広島に落ちた原爆や
集団疎開にB29、竹やりなどなど・・・ 語り部としての
お婆ちゃんに幼いころのボクは疎ましく思っていましたが
今は貴重な体験談を聞かせてくれたことに深く感謝しています
そんなお婆ちゃんの体験談に非情に近い、いや、まさにこの時代を
すずのように生きてきたそのままの世界を映像で観てるような感覚に
見舞われて違う意味でムネアツでしたw
{/netabare}