おかむ さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
王道を行く感動ストーリー
オリジナル作品が数多くヒットした2011年における最感動作と云っても過言ではない名作。
監督の長井龍雪、脚本の岡田磨里、キャラクターデザインを田中将賀など『とらドラ!』のスタッフが多く参加している。
『とらドラ!』で見られた高校生という難しい年頃の感情の揺らぎや人間関係の展開など、その雰囲気が色濃く受け継がれている。
物語は幼馴染の死という過去に対するそれぞれの罪の意識を基軸に恋模様や友情、成長の様子が丁寧に描かれている。
特に複雑な人間関係の描写は『とらドラ!』を彷彿とさせ、キャラクターに対する感情移入を誘う。
残念な点があるとすれば、やや物語的な起伏が少ない点や矛盾を感じさせる演出がある位であまり気にはならない。
声優は2011年最もブレイクした声優の一人である茅野愛衣の泣きの演技や精神的な幼さの表現などの好演が印象的であった。
また久川鉄道役を務めた近藤孝行が見せた泣きの演技は圧巻と云えよう。
作品の性質上、感情の起伏が激しい作品であったにも関わらず、全くと云っていいほど声と画の矛盾を感じずに最後まで見られた点は高評に値する。
作画についても文句無しで、後にコミックマーケット81にて発売された『あの頃描いた修正集』にも見て取れる通り、田中将賀渾身の一作と云えるのではないだろうか。
また秩父という舞台の風景、実在の商品などの細かい描写もすばらしいの一言。
エンディングにはZONEのヒット曲である『secret base 〜君がくれたもの〜』の発売からちょうど十年という節目に当たり、同曲のアレンジが採用され、当時同曲がテーマソングであったドラマ『キッズウォー』をリアルタイムで見ていた層にとって嬉しい演出になっている。
音響監督は売れっ子の明田川仁が務め、アニメ初参加となったREMEDIOSの美しい音楽と共に画を盛り上げている。
個人的な評価としては2011年の最高傑作。
是非、ご視聴をお薦めしたい。