じゅん さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
西宮硝子はそこに生きています
個人的に今年一番期待していた作品。
しかし先に「君の名は。」という大傑作が公開されてしまい、これはどうしても出来を比べてしまうなぁ…と思っていたのだが、当初の期待を裏切られることはなく、全く遜色ない名作だと断言してしまっていい出来だった。
(ひょっとして2016年はとんでもない当たり年なのでは?)
この映画作品を評価するにあたっての肝は、全7巻からなる原作コミックスをどうやってうまく長編映画なみの尺に落とし込むのかという所だ。
これについては「映画を制作する」場面をまるまるカットしたことで尺的にもうまく短縮でき、物語としても硝子と将也に焦点を絞れてわかりやすい流れに無理なく変えられていたのは見事だったと思う。
逆にふたり以外にも素敵なキャラクターが多いのでそれを活かせないのは勿体ない気もした(これは劇場版としては仕方のないことで、強いて言えばTVアニメ化できたら良かったね~という話です)。
もう一つ重要な点が「耳の聞こえないヒロイン」である。
この作品は「西宮硝子」をきちんと描けなければ絶対に成功しない。
これに関しては最高の結果を生み出せていたと思う。
京都アニメーションの与えた動きの演技に、早見沙織の声が乗ってそこにしっかりと生きていると感じられた。
彼女の強がりも弱さも、愛想笑いの切なさも、ほんとに痛いほど伝わってきた。
化学反応という表現があるが、まさに京アニと早見さんのそういった相乗効果によってより魅力的に描いてくれたことに原作ファンとしても感謝したいと思う。
この作品は小学校の道徳の授業で取り扱って欲しいくらい、いじめや障害に対して真っ向からの問題提起をしてくれていると思う。
特にいじめっ子主犯の周辺、島田・植野・川井それぞれの何がいけなかったのか等を話し合えれば有意義な時間になるのでは。