amnmnt さんの感想・評価

4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態：観終わった

日本の心、ここにあり

このアニメはよくミステリー系と言われますが主軸は全然そこじゃありません。
あくまでミステリー系を「きっかけ」としたストーリー展開になっているだけで
本質は全体の「雰囲気」と「登場人物の魅力」、「登場人物同士の相関」を
楽しむ、そういうアニメです。

なのでミステリーうんぬんに焦点をあて、そこに期待してしまうとおもいきり
ずっこけますのでご注意を。そこはめちゃくちゃ薄いです。おまけ程度。

あと冒頭で「また部室系かよ！」と思ってガッカリしないでください、
大丈夫です。私も最初そう思いましたが全然そういう事ではありませんｗ

さて最大の魅力は、BGMと構図づくり、演出、そして登場人物の性質による
全体の雰囲気なんです。特に構図づくりと演出はかなり力を入れていると
思います。演出の一環として、異常なまでのキャラ作画の安定感、しっかり感、
背景のリアリティ、そして意図的に要所要所で活用されている広角気味のカット。
京アニ（TVシリーズ）でここまで気合いの入った作品は前代未聞じゃないですかね。

そのあたりからリアリズムを生み、だからこその雰囲気なんだと思います。
BGMも本当にマッチしている。で、個人的にとにかく感じて欲しいのは、
奉太郎とえるたそ。この二人の雰囲気なのです！これこそがこの作品の
主軸であり魅力であり本質かと。

察する心なのです。ザ・美しい日本人なのです。可愛げがなくぶっきらぼうな
主人公、奉太郎。いちいちめんどくさがるし愛想もない。しかし！せっせと
えるたその為に働く、働く。決して口には表には出さないけれど、行動で
示す。そしてヒロイン、えるたそ。正に三歩下がって彼方について行きます系。
決して自分を押し付けず、奉太郎を立て、そして揺ぎ無い信頼をおいている。

お互いを尊重し合い、なんかもう常にずっと察し合いっぱなしというかｗ
わかりますかねえ。例えるなら、お茶で「伊右衛門」のCM覚えてますか？

もっくんと宮沢りえの、あの時代劇系CMです。あの二人の距離感、空気感、
そして信頼感などなど、正に同じなんです。古き良き、ってやつです。

それら全ての相乗効果により「氷菓」の世界は見事に完成されています。

あと忘れてならない、里志と摩耶花。これがまた上手に作られてまして、
奉太郎＆えるたそだけではどこか現実味が無くなっちゃうんですね。上で
触れたように、ちょっと時代がかっちゃってるからです。そこに現代的な
里志＆摩耶花がナチュラルに入る事で一気に自然になっています。

また、とても現実的に恋や嫉妬、怒りなど、作中でも触れる回があるのですが
「七つの大罪」。メインキャラ4人とも「怒り」や「嫉妬」「エッチさ」
「なまけ」などしっかりと「大罪」を持っており、だからこそ人間味、
現実味が生まれています。昨今のアニメ作品にはこれが欠落している
ファンタスティックなキャラが多い為、この作品は逆に珍しい部類であり、
そこにまた独自性が生まれ、この作品色が彩られていると思います。

ラスト3話くらいとかもう、やばいです。
ここまで書いた様々な内容がてんこ盛りで、ソワソワ、ギュンッギュンします。

是非、この「感じる系アニメ」とでもいいますか、
それを楽しんで欲しい作品です。

あと、可愛いんですよちゃんとブヒれるんですよ、えるたそ～＾ｑ＾