セメント さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
今、一人の女が目覚めた
大震災が起きた近未来の東京を舞台として、その世界観はかなり魅力的でした。
舞台背景にドンと構える"傾いた東京タワー"というのがまず格好良いです。
<物語>
原作はトップカウのアメコミ、なんですが設定を拝借してるくらいで全くの別物と割り切った方が良いです。
脚本は小林靖子さん、平成仮面ライダー好きには馴染みの深い方ですよね。
母と娘が一緒に居ようと精一杯足掻く、どこまでも泥臭いストーリーでしたが、私はこういうの大好きですね。
中盤には社内派閥争いや遺伝子技術の是非みたいな要素も盛り込んできて、結構慌しい作品です。
何よりも驚くべきは、主人公サイドがアイウェポンと呼ばれる軍事兵器を研究開発し商業を成す会社に所属している点ですかね。
アイウェポンは人間の死体から生成されていて悍ましい代物なのですが、その上決まって暴走します。
一般市民の殺戮を繰り返すアイウェポンの回収が本作の一つの柱でもあるんですが、そんな危険物を開発してしまう導示重工のリスクコントロールの欠如を思わなくもない。
<作画>
GONZOは素晴らしいアニメを沢山この世に送り出して来ましたが、中でも良かったと思います。
収録版は"オリジナル解禁版"と言われていて、地上波では控えめだった露出度がグンと上がってます。
<声優>
雅音役には能登麻美子さん、当時は能登さんが母親役をやるなんてと思ったものですが、最近は年増役を演じることの方が多いような。
時に激昂し時に沈静する能登さんのバラエティ豊かな演技が見れて満足でした。
あと梨穂子役の神田朱未さんも良かったですね、澄み渡る天使のような声で癒されました。
<音楽>
前期OPの「XTC」は本当に最っ高ですよ!映像もまた良い!
サイキックラバーが歌うアニソンの中でも1位2位を争う名曲だと思ってます。
後期OPの「Dear Bob」はどうなんでしょ、"ママー!ファザー!"ってちょっと違和感。
<キャラ>
もう一つ本作で衝撃的だったのが、理穂子ちゃんの母親が実は玲奈だったことですよね。
実母じゃない予感はしてたけどまさか玲奈かよ!と、何局長とよろしくやってんだ!と。
それとナソエフ関係で玲奈の事が大好きな栞、彼女は良いキャラでしたね。
玲奈のティーカップを舐めるなど包み隠そうともしないレズキャラの彼女ですが、残念だったのは、ご乱心した後に男性を襲ってた事ですね。
これで女性だけを襲うサイコレズと化していたら伝説になれたと思います、私の中で。
あとは、奈月ビルの住人とかいう本作の良心的存在にも触れたいですね。
斗沢ちゃんにマリ子さんにチョーさんにナォミにマイケル、癒しです。
Marry's Galleryのシーンが映る度に実家のような安心感を覚えてました。
どちらかといえばマイナーなアニメなんでしょうか。
展開は暗めで、児童福祉庁がDNA鑑定を持ち出した辺りなんかは見てて胸がキリキリしました。
でも話の構成は秀逸で、特に結末が、これまた衝撃的なんですよね。
思い返してみると驚きの連続で息つく暇もないアニメでした、ずばり名作です。