セメント さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
なんくるないさー
「BLOOD THE LAST VAMPIRE」の設定だけ受け継いで、テレビ版として1年間放送された作品です。
小夜の性格が前作と比べて明るいので、夕方放送としても頷けるかなという塩梅ですが、回を追うごとに話が重たくなって、正直見るたびに暗い気持ちになりました。
<物語>
ところで翼手って何ですかね?
最初はベトナム戦争中にアメリカが開発した細菌兵器に感染した人間だと思ってたんですが、調べてみるとどうやら違う様子・・・。
分類学上は霊長類の、翼手と呼ばれる新種生物が元々存在していて、小夜とディーバが偶々ベトナムで人間に発見された、と。
その血から製造されたD67によって、人間を翼手化する実験がアメリカ主体で行われていて、本編の翼手はこの人造翼手を指すことが多い、と。
"人間の業が生み出した化け物"ではなく"得体の知れないモンスター"という事なんでしょうね。
他国で人造翼手を増殖させて、自国の軍がこれを殲滅するという自作自演で、全世界の実効支配を目論むアメリカの構図が面白かったので、どっちでも構わないんですが。
<作画>
押井守さんは企画協力に留まり、監督は"押井塾"の藤咲淳一さんが努めてます。
アクション作画も前作ほどではないですが、決めるところは決めてますね。
OPが4種類ありますが、どれも個性豊かなんですよね。
最初のは絵コンテ・演出に紅優さんと作監に黄瀬和哉さん、2番目が絵コンテ・演出に中澤一登と作監に浅野恭司さん、3番目が絵コンテ・演出・作監を塩谷直義さん、最後のが絵コンテ・演出に藤咲さんと作監に石井明治さんが入ってます。
<声優>
所謂、キタエリ版小夜ですね、通年と長かったこともあって一番馴染んでます。
洋画チックなキャスト陣で、デビッド役の小杉十郎太さんを始め、本当に良いお仕事を成されてます。
<音楽>
音楽のレベルは高いです、「Colors of the Heart」なんてイントロ聞くだけで脳汁が溢れ出てきます。
ただ4番目のOPのジンが歌う「雷音」は最後まで何言ってるか分かりませんでした。
EDは「語り継ぐこと」が好きですね、最終話で流れるのもまたGreat!
<キャラ>
魅力的なキャラが沢山出てくるのですが、大体死んでしまうので・・・。
中盤からは新キャラが登場するたびに、どういう風に死ぬだろうかと考えてしまったり・・・。
ジョージの死は予見できたのものの、リクの死は完全に意表を突かれましたね。
しかも精子を搾り取られて果てるという、刺激が強すぎます。
シフとかいう死ぬために生まれてきたようなキャラも本当に勘弁です、カルマンがな~~~。
そんな中で、デビッドとルイスの強靭な生命力には安心感を覚えます。
ハジが最終決戦で"なんくるないさー、貴方を愛してます"とか言った時にはもう涙がボロボロと。
小夜の眠る墓に片結びの薔薇が添えられて終わる最後のシーンも、これまた心憎い演出をするなと。
基本的には救いのない話なんですが、見た後の満足度は高かったですね、良いアニメでした。