ちあき さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
自分と他者。自己犠牲は本当に他者を救うのか?
原作はゲーム。
友達に勧められてPCでプレイしてみると、そのストーリーとメッセージ性に感動しました。その時感動したのが、「遠坂凛ルート」、つまりこの作品の原作です。
理想をひたすら追い続けた人間の末路。自分を捨ててまで他者を救う、そんな自己犠牲に対する私が感じていた違和感をうまく形にしてくれた作品だと思います。
ゲームでは、スト―リーが途中で分岐して、三つの異なる物語で構成されています。プレイして最初は必ず「セイバールート」、二周目で分岐に成功すると「遠坂凛ルート」、そして三周目で分岐に成功すると「間桐桜ルート」となります。
当時アニメ化されると聞いて期待して見たTVアニメ第一作「Fate/staynight」は、やはりセイバールートで少しがっかりしました。更にがっかりしたのは、続いて制作された劇場版「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」。一番みたかった遠坂凛ルートにも関わらず、劇場版のため、やはり尺が短すぎてかなり残念でした。その後も「遠坂凛ルート」を期待していましたが、「Fate/zero」や他の話がでてきて正直がっかりしていました。(「fate/zero」は戦闘がすごくきれいで迫力があって驚きはしましたが)
しかし、ついにやってきたTVアニメ版の遠坂凛ルート『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』。期待通り原作に沿っていて、申し分のない作品でした。
ちなみにゲームでもセイバールートの次に、遠坂凛ルートの話になるので、第一期「Fate/ staynight」を見た後に、TVアニメ第二作の本作品を見た方がいいかもしれません。劇場版ネタバレにもなるので、見ない方が良いと思います。
【Fate/stay night[Unlimited Blade Works] 全体を通して感じた事】
感じた事を一言で表すならば、他者ばかりに偏ることの歪(いびつ)さでしょうか。
「1万人の死と1人の死、どちらが重いか?」と問われると、大抵人は、単純に数を基準にして一万人を選ぶと思います。ただし、その答えを言った後に、「もしその一人の死が自分自身だとしたら?」と問われたら、どう答えるでしょうか……。私はそれでも一万人と応えられる自信はありません。
やはり自分の事は一大事で、他人の事は所詮他人事。いろいろ考えると、私はむしろ自分が一番可愛いと思う人の在り方のほうが自然に思えてなりません。もちろん、他者を一切顧みず自分勝手に自己中心的に行う人も醜いものです。かといって、一切迷わずに、自分を犠牲にして、他者を選択するのは、やはり歪に感じます。自己犠牲をする本人の事を大切に思っている他の人達の事を全く考えていませんしね。
他者を大切にするには、自分も大切にしないと成り立たないし、自分を大切にするには、他者を大切にしないと成り立たない。そういうものじゃないかなと、本作を通じて思いました。