明日は明日の風 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
未来に待ち受けているものとは何かを捜し求める物語、人物描写が巧みな名作
はじめの方をすっ飛ばしてしまい、DVD全巻揃うのを待ちました。ようやく全話視聴できたので棚に入れることができました。
さすがは2016冬アニメのナンバーワン評価の作品。見ごたえありました。1話終わるごとに、次は、次は…と止まらなくなりました。リアルタイムで見ていたら毎週気になってしょうがなかったでしょうね。本当に良くできた物語です。
{netabare}売れない漫画家の藤沼悟に降りかかった母親殺人容疑。時間が巻き戻るリバイバルという能力を持つ悟は何とかしようと叫び、小学生まで時間が巻き戻ってしまう。戻った先は小学生のころに起きた殺人事件が起こる少し前のとき。その殺人を思い起こし、母親殺しとの関連に気づいた悟はだれも死なないように懸命に行動するが、うまくいかない。それでも必死にもがく悟には、仲間がいた、好意を寄せてくれる人がいた、そして母親がいた。悟に関わってくれた人々の力を借りながら、小学生の時に起こった殺人事件は回避した。しかし、真犯人によって悟は16年もの間眠り続けることになる。目覚めた悟はすべてを思い出し、真犯人と最後の決着をつける。{/netabare}大雑把に書けばこんな内容です。
とにかく物語にスリルがあり、虐待のつらい話あり、友情の話しあり、親子とは何ぞやの話しあり、恋のメロディーあり、先生と子供たちの話しあり。これだけ詰まっていて、さらに登場人物すべての描写が絶妙なのです。{netabare}悟と母親、八代、ケンヤ、ヒロミ、加代と加代の母親、美里、ユウキさん、母親の元同僚、愛梨。それぞれに何かがあり、物語に絡まってきます。{/netabare}これははまらないほうがおかしいと思うくらい、深いです。
これくらい面白いと欠点も見えなくなります。が、やっぱり納得できない点もありました。{netabare}一つは悟のリバイバルがなぜ備わったのかということが明らかにならなかった点。二つ目はリバイバルする前の世界はどうなったのかということ。三つ目は悟と加代の間はなんだったのかという点です。
一つ目についてはさすがにヒントもなかったので、考えようがありません。これは飛ばしたほうがよさそうです。二つ目はリバイバルして真犯人を捉えた世界が真実になったのだということで無理やり納得させました。でないと、リバイバルした意味がなくなるし、現実に帰ってしまっても悟に待ち受けているのは暗い世界ですし。でもな…母親を殺したクソ野郎がその世界ではのうのうと生きているのかと思うと悔しくもなります。
三つ目、これがこの話の最大のポイント。悟と加代の描写があまりにも小さな恋のメロディーチックな感じだったので、目覚めた後に幸せになってほしいと願ったのですが…そうですか、ヒロミと結婚したのですか…そうだよな、16年という時が流れているんだものな。しかも、悟も喜んでいるし(生きているのが嬉しいだけではないように感じた)。悟はとにかく加代を助けたかったということ、「形振り構わない」って言っていたしね、付き合っていると周りに思われようが、そんなことは気にしていなかった。つまり、加代に対する思いは「とにかく生きてほしい」が第一だったんだと無理やり納得させました。でないと、愛梨の存在も無くなってしまう。最後に愛梨を持ってきたのは、そういうことなんでしょう。でもね、2回見たのですが、やっぱり悟と加代は幸せにならないとおかしいように感じるシーンが多すぎて…そこが残念といったら、残念かも。{/netabare}
この作品は、はまったら抜け出せない世界観に満ちた作品です。サスペンスものが好きな人、人物描写が濃いものが好きな人にお勧めできる作品ではないかと思います。ただ、2回見ることをお勧めします。1回目で納得ができない点も昇華ができるようになると思いますので。