STONE さんの感想・評価

3.2
物語 : 2.5 作画 : 2.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態：観終わった

この終わり方はちょっと・・・

　原作は未読。
　基本設定である裏社会モノと異能モノの組み合わせが面白い。もっとも異能と言っても特殊
能力はなく、身体能力の強化程度に留められているので、ややリアル寄りな印象。

　こういう殺伐とした作品は、それに相応しい舞台があるとより雰囲気が出るのだが、そういう
意味では、本作のエルガストルムはいい感じ。
　もっとも犯罪はびこる街、複数の裏社会勢力による危うい均衡による街の支配、主役が
どこにも属せずにいるところなど、「BLACK LAGOON」を思い出してしまうけど。

　中心となるウォリック・アルカンジェロとニコラス・ブラウンだが、なかなかカッコいい
おじさま二人。
　ストーリー的にはこの二人のバディものといった感じだが、複雑な過去があるだけに単なる
相棒というだけでなく、愛憎入り交じった関係性にあるのがドラマをなかなか奥深いものに
してくれる。
　この二人に限らず、他のキャラもそれぞれ色々あるといった感じで、全体的に人間ドラマに
重きを置いた印象。その分、本来はアクションものでありながら、そのアクション自体はやや
弱い感があったけど。
　このドラマ部分で大きなファクターとなっているのが、トワイライツという存在で、本作での
異能者は通常の人間より強靭な肉体を持ちながらも被差別者であり、このトワイライツの
哀しみが作品全体に満ちている感じ。更にトワイライツ以外のキャラも多くは裏社会に生きる
者だったり、娼婦だったりと社会的に陰に生きる者達であることが、よりそういった傾向を
強めているような。

　設定、世界観、雰囲気は良かったのだが、展開的には街の均衡が崩れそうな、これからど
うなる？というところで唐突に終わってしまった。
　原作未完の作品が途中で終わることは多々あるが、ここまで締めのない終わりもちょっと
珍しい。
　あと作画も終盤はひどかったが、この後で制作会社のマングローブが倒産したところを
見ると、かなり追い詰められた状況だったのかな。

　キャストは全体にキャリアのある安定した人選といった感じだが、特に聾唖者である
ニコラス役の津田 健次郎氏が印象に残りました。

　あと細かいことだけど、タイトルでもあるGANGSTAだが、意味としては間違っていない
けど、ヒップホップ系のスラングゆえにイタリア系主体の本作では、個人的には違和感が
あった。