めいろ* さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
これじゃあ、と私は思う。
映画を見てから、小説版を読みました。
運命が確定的なケースに、未だ僕は遭遇したことがありません。
いえ、もしかすると気づいていないだけで、すでにそれらのケースが僕の生活を取り巻いているのかも。
そんな事を今まで考えたこともなかった僕の心はつまり、豊かでなかったと恥じるべきでしょうか。
だとすれば。ここで1つ豊かになった僕の心を経験上では誇示したいところなのですが、なかなかそんな気にもなれずにこうして文字を燻らせています。
曖昧なものに美しさを感じる歳になりました。
感覚としては、星は強く輝くから綺麗なのか、そこにあるから綺麗なのか。みたいな。
はっきりしない、明確でないことがなんとなくその行き場を失って、その様を恐らく私は、「淡く儚い」という美的表現に通ずるのかなと思ったり。
題名に回帰して、そのフレーズは映画にもあった終盤、手のひらを見た時の彼女です。これじゃあ、と思う前に、彼女は走り出しています。理由は明記されていません。
小説では、最後にこんな言い回しがあったりしました。
このままじゃ泣き出してしまいそう。
そう思ったところで、私は自分がもう泣いていることに気付く。
考えるより先に、感情が湧き出す。感情が思考するより早いという異常な矛盾が、どうして読者をより感情的に突き動かします。
これもまた、理由は明記されていません。
曖昧なことが美しいのは、その理由を探すから。
君の名前が知りたい理由を、探す物語。