ノリノリメガネ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
洋風ラブロマンスファンタジー
宮崎駿監督作品では珍しい、ラブロマンスファンタジー。ややタイムリープ要素あり。
起きていることは壮大なスケールを持って描かれているような印象を受けるけれど、とにかく世界観に関する説明がないのが特徴的。
{netabare}
洋風な街並みの中、普通に魔女や魔法使いが存在していて、なんだかよくわからないが、戦争中であるようだ。魔女同士の因縁や確執もどうやらあるらしい。
しまいには、ラストでサリマンや隣国の王子が「こんなバカげた戦争は終わらせるか」と言って、簡単に終わらせる描写がある。じゃあ、一体なのための戦争だったのか、と。
こんな風に真面目にツッコめばツッコミどころは多数あるのだが、本作においてはその辺りの説明は不要なのかもしれない。
戦うことから逃げ続けたハウルがソフィーを守るために戦いに身を投じ、ソフィーもまたハウルを通して成長していく、それを伝えるための記号としての戦争だったのかもしれない。
そして、ソフィーの呪いは解けたのか、という大きな命題が残るのだが、やはりソフィーの呪いは解けなかったのではないかと私は解釈した。
作品を通して観ると、度々ソフィーは若さを取り戻すシーンがある。その共通点は自らの感情に素直な瞬間であると思った。逆に卑屈になったときは一気に老婆の姿に戻っている。
ラストシーン、顔は若いがソフィーの髪は白髪のまま。故に呪いは解けていない。だが、成長を遂げたソフィーはもう卑屈になることはないので、老婆の姿になることもないということ。呪いを解いたというよりは、呪いを抱えながらも幸せに生きたというのが正しい見方なように思った。
だからこそ、最後目覚めたハウルは、ソフィーの髪を見て「星の色に染まってて綺麗だ」という表現を使ったのだと思う。髪は白髪のままであるソフィーに対する最大限の優しさだったのではなかろうか。
その他、マルクルも荒地の魔女もカルシファーもヒンもカブもみんなかわいいし、動く城のデザインもかっこいい。
一つ難点を挙げるとすれば、倍賞千恵子が若い時と老婆の両方を演じるのはいささか無理があったというところくらいか。
{/netabare}