鸐 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
アリエッティ序章
レンタルDVDで視聴
監督はジブリで一番上手いアニメーターとしての称号を持っている米林宏昌さん。
日本の風情と北欧系の文化が融合した"ジブリ"らしい雰囲気の映画だった。
{netabare}物語
1週間叔母の屋敷へ療養に訪れた翔と小人の少女アリエッティの交流をアリエッティ視点で描く。
物語の抑揚は大きく無く、心臓が弱くても安心して最後まで楽しめるのが宮崎駿監督作品と大きく異なる点かな。悪く言えばインパクトが弱いのかもしれないけど、決して悪いとは思いません。何故かというと、退屈することがないから。世界感がしっかりしたうえでキャラがどんどん動いて、どんどん新しい出来事が起こって楽しませてくれる魅力があります。
逆にインパクトが弱いというところをつつくと、物語が終わってもこれからまだいろいろ起こりそうだ!ここで終わってしまうの?という物足りなさが残るのが残念かな…
もしこれが、
翔にとっては特別な思い出であるが、アリエッティにはほんの些細な出来事だったのかもしれない。
ということを強調するための演出ならすごいと思いますし、そうだったら続く物語にわくわくします。
さて、この物語には大きな論点が見受けられますね。借りぐらしと泥棒は違うのかという論点です。
私も借りぐらしの説明を初めて聞いた時に、カリパクじゃん!とつっこみを入れてしまったのですが、まあ、頻度的なものもありますし、どれだけ許容できるかという心の広さ次第かもしれません。
多分お手伝いさんにはものが無くなって責められた経験とかあるんじゃないかなー…何かをなくしてしまった時とか、小人が盗んでいったということが証明できれば小人のせいに出来ますからね…
あと、借りぐらしについて思うのは種からの見返りがあってもいいのではということです。
借りると言うくらいなのですから、何かしらの見返りがあっても良いのではないでしょうか。例えば虫やネズミを捕食し、蛇のような役割を持つとか、座敷童子のような伝説を持つとか…
この作品には何にもそういった描写が書かれてないんですよね。拝借するだけ。これでは泥棒と言われても言い返せないのでは?と思います。
描かれていないと言えば、話題に出たネズミとの絡みが無かったのは残念でした。ねずみとは出くわすな、というセリフがあったから、こんな時にネズミが!どうしよう…みたいな展開を期待していましたが無かったです。
アリエッティの旅はこれからだ!みたいな終わり方だったので必ずあると思うんですが…翔との再会篇を作って欲しいですね。
声優
良かったですよ。
志田未来さん上手でしたし、神木隆之介さんは「君の名は。」の瀧君の声を聞いた時、凄く上手いなと思いましたが、上手くなるちょっと手前の初々しい感じがアリエッティで聞けたのは良かったなと思います。
お母さんの声は、大竹しのぶさんが前面に出ていましたね(笑)
お手伝いのハルさんが市原悦子さんだったらなお面白かったのに…
神木隆之介さん、ここでも「君の名前は?」と尋ねていて笑っちゃいました。6年も前に「君の名は。」をしていたなんて衝撃です。
キャラ
職人気質のお父さんに、箱入り娘っぽい母さんに、理想的な娘、娘のお相手は年齢の割にとてもしっかりした好青年とジブリらしさが詰まったキャラばかりです。
これが制作者の理想の人物像なのかなー?と想いながらみていたらちょっと面白かったです。
作画
背景とか動きとか相変わらず綺麗ですが、今回一番の見どころは、やっぱりスケール感じゃないかと。
私が好きなシーンはキッチン回りとティッシュのところですね。
巨大スケールに対する恐怖感とか強く感じましたし、借りぐらしのスケールも分かりやすかったです。
あと、ポットから水を出すシーン!ああ、ミニチュアだとそうか。と納得し、リアリティを感じました。
手書きアニメだとサイズ感を表現するのは難しいでしょうから、表現に対する挑戦はジブリだからこそかな。
表現の都合上あえて大きくしたシーンもあるのでしょうが、あれこんな大きさだったっけ?と混乱するシーンがあったので、サイズ感は変えないで欲しかったかも。
CGなら楽なのになとは思いました。
まとめ
絵でみせられて話もどんどん進んでいくので退屈ではありませんが、インパクトが弱かったので、良くできた序章くらいのテンションにしかなりませんでした。続きが気になるので続編が欲しいです。{/netabare}