101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
歌い踊るディズニーが無言で伝えたかった気持ち。
ディズニー通算50作目の長編作品となった本作。
相変わらず、キャラたちはやたら踊るし、歌うし、
身振り手振りは大袈裟で、パッチリ目玉はデカイし、
主人公ヒロインの魔法の金髪はやたら長いし、フサフサで良く動くw
多額の資金と人員を投じて構築されたCGの動きは楽しげで、
それらが中だるみなく敷き詰められたゴージャスさは、
鑑賞者を夢の童話世界に旅立たせるのに十二分です。
ただ、私が本作で一番印象的だったのは、
ディズニーに無言で少ない所作でも気持ちを伝える、
繊細な表現を完膚なきまでに見せ付けられたシーン。
具体的に言うと、{netabare}国王夫妻が、
生き別れた娘・ラプンツェルの無事と再会を願って、
灯籠を夜空に放つシーン。
挿入歌の他は、キャラは無言で、大量の光が立ち上る幻想的な演出。
何も語らなくたって、娘を思う父と母の気持ちが心に響いてくる名シーンです。
この夫妻、劇中でもほぼ無言でしたが、
本当にいいご両親だったという好感が今でも残っています。
私は捻くれた日本のオタクなのでw
長年、日本におけるアニメの経常赤字の主原因になっている、
ディズニー映画等が日本で流行っているのを見かけると、
デフォルメのセンスは日本が上だの、繊細な心理描写はこっちに分があるだの、
僻んでばかりですがw
そんな邪な考えなど、本作を観ると、灯籠と一緒に夜空に消し飛んでしまいます。{/netabare}
最近もクールジャパンで世界を……などと頻繁に耳にしますが、
本作のように、ただでさえ資金力で勝る海外勢に、
細やかな芸当まで披露されると、
日本アニメ勝ち目ないだろう……と苦笑してしまいますw
個性的なキャラたちの中では、マキシマスがお気に入り♪
{netabare} 彼は人ではなく王国警護隊長が愛用する白馬ですがw
その能力は一介の馬を遙かに超越。
鼻は警察犬の如くよく効き、犯人逮捕の執念は銭形警部並みで、
剣術格闘?もイケるw
その上、組織の家畜に成り下がらず、自らの信念で行動ができる。{/netabare}
彼こそまさに21世紀の名馬だと思います。
その他、吹き替えでも進捗著しかった本作。
一昔前はディズニーに限らず、ミュージカル映画や歌や踊りのある洋画吹き替えなど、
日本語がおかしくて、2時間付き合うのは正直しんどいと思う作品が多かったものです。
ですが本作は吹き替えでも大人を引き込む完成度。
個人的には {netabare} 俺には夢がある♪と歌う大人の酒場ソングが、
捻くれた自分の胸に刺さりましたw{/netabare}
本作の流れの先に、
実写洋画『レ・ミゼラブル』によるミュージカル吹き替え鑑賞の一般普及があり、
さらにその流れを受け、世は空前の『アナ雪』ブームを迎えることとなりました。
そういう意味で、映画興行のメインストリームを語る上でも外せない本作。
私としても是非2010年代の名作に数えたい逸品です♪