Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
いじめ…一つたりとも同じ型が存在しない無形の暴力
この作品の原作は未読ですが、キャッチさせて頂いている方の新着レビュー情報で、本作のタイトルを幾つか拝見しました。
少しググってみると、「ちゃおチャンネル」で登録されている動画2本のうちの1本が本作品でした。
時間も13分弱と短め…そして私は皆さまのレビューを自分がレビューを書いた後に拝見するのですが、チラリと目に留まった東山奈央さんの名前…私にとって視聴するには十分過ぎる材料で、今回視聴に至る事になりました。
視聴前から気になっていたのは東山さんがどんなキャラを演じるか…という事だったのですが、視聴を初めて直ぐに分かりました…東山さんが演じていたのは星華女子学園中学2年生の君島文香という赤毛のツインテールの似合う女の子だったんです。
星華女子学園には、父親の七光りを背景にした女王様が通っていました。その女王様の名前は古城世良…父親が多額の寄付金を学校に納めている事から、教師、生徒とも彼女に頭が上がらないんです。
とある日…日直の仕事で急いでいた君島文香は、学校の廊下で古城世良とぶつかってしまった拍子に彼女のカバンを傷付けてしまうんです。
勿論、君島文香だって故意にバックを傷付けた訳ではないので、これは単なる不幸な事故…
となる筈だったのですが、女王様の変なスイッチが入ってしまい…君島文香に対する全校生徒からのいじめが始まってしまうんです。
もし問題が生じたのであれば、その当事者で問題を解決すればいい…そうすれば、お互いに納得もできるし後腐れもありません…
自分達で問題が解決できないなら、その問題を確実に解決できる人…それも最低限に抑えて物事を進めるべきだと思います。
でも、なぜここで人は周りを巻き込むのでしょう…
本気で問題を解決したいと思うなら講ずるべき手段は違うと思うのですが…
だから、周りを巻き込んで一人を集中的に攻撃しても問題は解決しません。
だって、周りの人に問題を解決する責任も意志も無いのですから…
隣の人がやった事を見様見真似で続けていく…まるで伝言ゲームの様にいじめの輪は広がっていくのですが、一番問題なのは金太郎飴の様なその他大勢です。
その他大勢の人は、苛められている特定の人から何の実害も受けていない訳なんですが、「周りの人がやっているから」を理由に苛めの連鎖を続けていくのは何故なんでしょうかね…?
当事者だって、実害を与えた本人から責められるのは理解できるし耐えなきゃいけない事だと思います。
でもこのその他大勢の言動って…当事者の心をどこまでも深く抉り続けるんですよね…
ややもすると見ず知らずの人から突然罵声や暴力を浴びせられるのですから…
そして癖が悪いのは、このその他大勢は当事者にそういうダメージを与える事を知っていながらやり続けるところだと思います。
その連鎖を断ち切れない最大の原因は「仲間外れにされたくない」という集団心理そのもの…
中には良くないと分かっていて止めたい…と思ってくれる子だっているんです。
だけどその一歩が踏み出せない…絶対に怖いと思います。
矛先の標準なんて…簡単に変わってしまうものだから…
結局は同じ穴のムジナなんですけどね…
でも同じ穴のムジナで終わらせないために…
小さくても正しい心の芽を摘み取ってしまわないように…
苛めって「肉体的、精神的、立場的に自分より弱いものを、暴力や差別、いやがらせなどによって一方的に苦しめること」なんだそうです。
各企業体にける「パワハラ対策」の整備は充実してきていると思います。
実際にパワハラで降格された方もいらっしゃるようですし…
でも学校…特に義務教育期間中のエスカレーター方式による今の教育では、個人の立ち位置が不明瞭なため、いじめの撲滅には未だ時間を要するような気がします。
私は理系の人間なので、こういう分野は専門外…と思っていましたが、最近企業における教育に関して、若手の受け止め方次第では苛めと紙一重の部分があるような気がしてなりません。
心の優しさと強さ…これからも鍛錬していきたいと思います。