四畳半愛好家 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
まるちゃん達の「好きな歌」が詰まった好き勝手自由に作られた名作
WOWOW様の一挙放送で初めて鑑賞(書き下ろし漫画は読了済)
これDVD化されてないみたいですね…WOWOW様に感謝です(まるでステマですね…DVD化してほしい作品です。色んなアニメ好きな方々に、この独特な世界観を味わってみてほしい。)
ちびまる子ちゃん劇場版の第二作。今の時代にはなかなか難しい、本当に見せたいものを自由に作って詰め込んだような作品。劇中の映像と音楽は芸術的で、音と映像が好きな人には特に勧めたい映画です。
図工の時間で「わたしの好きな歌」についてお絵かきするという宿題から物語が始まることもあって、様々な音楽が詰まっている映画になっています。「音楽シーンが長くて苦手」って方もいるみたいですが、個人的には劇中の曲や映像が素敵だったので、鑑賞後即CD屋さんに直行してしまいました。湯浅政明が演出してるシーンとかもあって、ファンは必見ですよ!
内容的にも泣けるんです。以下ネタバレ付き感想{netabare}
物語:まる子と絵描きのお姉さんの交流と別れを描いている作品。前作に続いて今作もなかなか泣かせてくれますし、しっかり笑いもあります。個人的にはお気に入りキャラの永沢君の性格の悪さ?がツボでした。(前作では一介のモブに過ぎない役回りでしたので…)。最後にオチがあるのがまる子ちゃんですよね!
好きなシーンは、音楽のシーン全般と、終盤の「めんこい仔馬」の歌と重なるようにまる子が万歳するシーンですかね…(ほぼ全部ですね)
声優:安定の面々にゲスト声優として主題歌を歌う高橋由美子が「絵描きのお姉さん」を演じていますが、なかなか良いです。キートン山田(ナレーター)も相変わらずいい味出しています。
キャラ:これまた安定の面々。多くのキャラクターに見せ場がある映画でもあります。B級男子たちが滅茶苦茶格好いいシーンなんかもあるんですよ!
作画:レベルがかなり高いです。音楽シーンはどれも独特な世界観の映像を見せてくれて、それだけでも楽しいです。私の大好きな湯浅さんらしさ全開のシーンもあります。
音楽:この映画の凄い点が音楽とそれに合った映像だと思います。劇中で特に好きだった曲を以下で紹介
1、1969年のドラッグレース(大滝詠一)
演出・作画担当が湯浅政明(代表作:四畳半神話大系、ピンポン等々)。鑑賞中すごく湯浅さんっぽいと思ったら、本当に湯浅さんでした 笑
花輪君の車で静岡まで行く際に流れる曲なんですが…歌詞も格好いい。ドライブに最適な名曲です!
今作のOP代わりの一曲ですが、早速センスに脱帽させられます。
2、ダンドゥット・レゲエ(チャンプルー・DKI)
花輪君が選んだ「わたしの好きな歌」。小3にしてこの曲を選ぶとは…花輪君は本当にセンスが化け物級です。インドネシア系の癖になる楽曲と寺院を訪れた花輪君が踊り子に魅了される心象風景を描いた独特な映像。何度も観たくなるシーンです。
3、買い物ブギ(笠置シヅ子)
はまじが選んだ「わたしの好きな歌」。どうやらはまじの子守歌らしいです…笑。親のセンスがやばい。1950年?の古い曲で、この映画で初めて聴いたんですが、はまっちゃいました。
これまた演出・作画担当が湯浅さんで、子供たちには少し怖いかもしれない強烈な個性を感じるシーンとなっています。大人になってみても少し怖く、それでいて癖になる面白い映像です。
4、星を食べる(たま)
まる子と絵描きのお姉さんが水族館を見て回るシーンで使用。個人的に一番印象的な映像だったかもしれません。魚の形の乗り物に乗って、空を飛んでいる魚をお姉さんと一緒に見て回る映像なんですが…水族館の薄暗さや静けさを表現しているのかも知れませんが、それにしてもこの曲を選ぶか!ってぐらい不思議な雰囲気の音楽と映像で…凄く素敵です。(歌詞に「ぼくは君の首をそっと絞めたくなる」っていうちびまる子ちゃんらしからぬ部分もあって…すごい世界観です。)見せたいものを自由に詰め込んでる感じがいいですね。
5、B級ダンシング(はまじ・関口君・ブー太郎)
これも本当に聴いてほしい曲です。イマイチいけてないB級男子達であるはまじ・関口君・ブー太郎のトリオ(ドラムは永沢君が叩いています)がビートルズを思わせるような曲とライブ映像で魅了してくれます。
なんだこいつら…めっちゃ格好いいじゃねえか!
はまじはクラスの人気者なので、いつも目立ちますが、関口やブー太郎が脚光浴びるアニメーションは新鮮でうれしいですね。妄想なんですけどね…
6、だいすき(高橋由美子)
最後にこの作品のエンディングで流れるこの主題歌を。最後はやっぱりいつもの「ちびまる子ちゃん」を思わせるような元気な曲でした。
歌詞がすごく単純で「あなたが大好きなの!」「会いに来て!」とか直接的な歌詞が多く、パワフルで元気が出ます。「相手を好き」という強いメッセージが真っ直ぐ伝わってくるような素敵な曲でした。
{/netabare}
この映画のおかげで、好きな曲が増えました。
みんなに鑑賞を勧めたい作品ですが、なかなか難しいのが玉に瑕です。
今の時代、ここまで自由気ままに作られる作品ってなかなかないですよね…。